JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine June 2019

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■ 奄美にて 田中康平

5年半ぶりに奄美大島に遊びに行った。

前回見損なった所をいくつか観れればいいという位だ。

また感じたが奄美は雨の島だ。予想通りのしっかりした雨で旅は始まった。

今回は奄美の梅雨入りのタイミングでもあり雨模様なのは自然なのだが、前回の12月も雨、昔皆既日食を見に行こうとして果たせなかった時も雨、その他知り合いからも奄美というと雨の話をよく耳にしている。客観的にはどうかと気象データを探してみた。

年間降水日数の平年値は見つからなかったが2017年のアメダス地点の降水日数データが見つかった(気象庁:2017 年(平成 29 年)の日本の天候(速報))。

それによれば年間1mm以上の降水のあった日は名瀬は144日で全国153地点中31位であった。

屋久島は154日で名瀬より多いがその他の上位ランク地点は日本海側等冬豪雪となる地点が殆どで九州沖縄では名瀬は屋久島に次いで第2位の雨の多さとなっている。

2017年というある年のデータではあるが雨の多い島ということは正しそうだ。天気図にしばしば出現する日本南岸に前線が張り付く形では奄美は何時も雨になるということなのだろう。

前に見損なった所として記憶にあったのが島の唯一の重要文化財建造物である泉家住宅だ。

前回はガイドブックにも記載がなく近くまで行っても表示もなくてたどり着けなかった。

今回は奄美を世界遺産に申請しようとしていることもあって文化的資産にアクセスしやすくする配慮は改善された印象はあった。

しかし雨だ。まずは訪れた奄美民俗資料館で行き方を細かく教わって泉家住宅に向かった。

ここで教わらなければやはりたどり着けなかったかもしれないと思うほどに道標等は見つかりにくい。

最後は道が細くなって手前の土産物屋の駐車場にクルマを置いて歩いていけばいいようではあったが雨だ。

とにかく近くまで車でそのまま行く。ここというところにつくとどう見ても個人の家だ。ちょっと入って写真に撮るのもためらわれる。

なかなか来れるところではないがどうしても気弱になってしまって車の中から見た光景だけを写真に収めるだけとなる。

高床の倉庫があるところが特徴的な住宅のように見える。

資料によれば明治期の建造だがこの地方の民家の形態をよくとどめているとして重文になったようだ。

座敷棟(おもて)と台所棟(とぉごら)は良く見えないが高倉は何とか見える。

高床になっているのは湿気除けとネズミ除けとされている。

火災を恐れてか集落ごとに集落から少し離れたところに高倉を数棟作ることが奄美大島では行われていたようで大和村大和浜に群倉(ぼれぐら)としてその形が保存されている。

これは野生生物保護センターの近くにあって翌日に見ることになった。

高倉風の復元建造物も島のあちこちでも見る。

泉家住宅のすぐそばにもあった、奄美の象徴的建物のようだ。

ともかく見ると南洋の建物という雰囲気がある。建物一つをとっても面白い。

今回の奄美の旅も主眼は野生生物を見ていく旅で、全ては写真にはとれなくても島特有の珍しい、奇妙な、或いはちょっと怖い生き物に次々に出会った。

見るべきところも色々残ってまだ回りきれたという感じがまるでしない。

アフリカで生まれた人類が日本人として極東の地に辿り着く過程では必ずこの島を通っていったはずだ。

旧石器時代からの重層した遺跡もあってとても面白い島だとまた思う。

懸念したがその後は大した雨にも合わず3泊4日で戻る。

調べるほどに興味深い島だがまた来れるだろうか。

近頃は旅するたびにどこへ行ってもそう思うようになってきた。

(写真は順に泉家住宅(2枚)、大和村大和浜の群倉(2枚)、高倉風の復元建造物)

  

  

 

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