JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine June 2020

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■ 阿蘇の水源巡り 瀧山幸伸

南阿蘇村の白川水源は有名になりすぎて、土産物店、看板と幟、人の動きと声など、いわゆる人工的なものが多くてざわざわと落ち着かず、心静かに過ごせなくなってしまった。

白川水源と同じ南阿蘇村には数多くの水源があるが、まだあまり知られておらず訪問者が少ないので、水源本来のアンビエンスを味わいたいなら、車ではなく徒歩か自転車での水源巡りをおすすめしたい。

車がだめな理由は、道が狭くわかりづらいこと、駐車スペースがほとんどないこと、車の騒音と走行自体が環境音と景観のアンビエンスを損なうことだ。

逆に、徒歩か自転車で巡れば、目の前に広がる田園と農村の風景、清らかな川と水音、背後の阿蘇山と外輪山の山並など、美しい風景と音に癒される。徒歩で一日かけて、地元の蕎麦やスイーツなども味わい、農家の方々と話しながらのんびり巡るのが最もおすすめだ。

明神池名水公園、小池水源、水源付近の農村風景

  

阿蘇の周囲には各地に多くの水源がある。産山村の池山水源山吹水源もお気に入りの場所だった。だが、最近いわゆるフォトジェニック系のネットで評判になったようで、撮影目的で訪れる若い方々が多くなってきた。騒々しいのはやむを得ないので人がいなくなるのを待つしかないのだが、飲み水に使っている水源に足を入れたりとかマナーを疑う行動も見受けられ、癒しの水源が好きな者としては残念な状態になりつつある。

池山水源、山吹水源

 

 

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