JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine July 2020


■コアジサシが楽しい  田中康平

夏鳥でこの季節に面白い鳥の一つにコアジサシがある。日本にやってくるコアジサシはニューギニア辺りの海域で冬を過ごし島伝いに夏日本にやってきて子育てをする。秋には生まれて数か月の若鳥を連れてまた赤道近くに戻っていき、これを毎年繰り返している。
カモメ科の海鳥だが飛ぶ感じはツバメのように俊敏で時々上空でホバリングして魚に狙いをつけ一気にダイブして魚を採る。日本の繁殖地では集団でコロニーを形成してカラスなどの外敵に立ち向かっている。日本では絶滅危惧種として絶滅危惧II類VU(Vulnerable)に指定されていて見れるところは割合限られている。

博多湾にコアジサシが渡ってきているというので、市の北部にある海の中道へ先月見に行った。やっとコロナ自粛も緩んできてそれなりの人数で集まって見に行ったのだが、人数もいることもあって刺激しないよう大分離れてスコープなどで見ていた。写真もとりあえず撮っては見たものの帰って見直すとすべて失敗で後日また別途出直した。今度は浜辺に出て、居るのを遠巻きにして見る、ヒナを育てているところは見えないが、200羽くらいいて十分楽しめる。
野鳥は野生生物だけに、思うように写真に撮れないことが多い、機材にお金をかければカバーできるところもありそうだが、結構な金額になるようなので、できる範囲にとどめている。今よく使っているのはNIKONのP900というコンデジを進化させたカメラで広角端から望遠端までの比率で82倍ズームになっていて2000mm相当の望遠というのが謳い文句だ。デジタル望遠を入れれば100倍くらいは使える写真が撮れることになる。動きの少ない遠くの野鳥をとる分には大して困らないがデジタルファインダーの遅れもあって動きのある野鳥をとるには少々苦労する。

コアジサシは栃木にいた時は鬼怒川中流域の中州に何年か渡ってきているのを、10年位前に見にいったことがあった。結構そばで見ることもできていたがその内水害で中州が流されたことをきっかけに来なくなった。関東ではその季節になれば羽田モノレールの昭和島のあたりでも観れることは知っていたが、なかなか見るチャンスがなく、九州に転居した後、3年ほど前、6月末に東京に出かけたついでに時間をやりくりして見に行った。水処理センターの屋上に毎年コロニーが出来ていてモノレールの昭和島駅の東口を出て運河まで歩いていく間に飛び交う姿がよく見える。道具は小さな双眼鏡とコンデジだけでアップの写真は撮れないがそれなりに楽しめた。いい写真はとれなくても野鳥を見るのはとにかく感じるところが多い。

人類が出現するはるか以前から繰り返されてきた地球の温暖化も寒冷化も大災害も見事に乗り切ってきた鳥たちの姿を見ていると、コロナだろうが温暖化だろうが原発だろうが水害だろうが、乗り切れない訳がないと励まされるものを感じてしまう。

写真は順に 1~4:博多湾のコアジサシ(2020.6)、5~7:鬼怒川のコアジサシ、ホバリングしたあと垂直ダイブして魚を採っているところ(2007.7)、8、9:羽田モノレールそば昭和橋のコアジサシ(2017.6)
         

 

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