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Monthly Web Magazine Sep. 2020

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■ ラバー・ダック~黄色いアヒルの子??~ 酒井英樹

 「ラバー・ダック(rubber duck)・・・」
  と言われてもその姿を思いつく人は少ない。
 しかし、その姿を見れば誰もが一度は見たことのあり、懐かしく思う・・・。
 幼少の頃、お風呂やビニールプールなどに浮かべて遊んだ経験のある黄色いアヒルのオモチャ。

 大阪には先月WEB MAGAZINで紹介した『づぼらや』の巨大なフグ提灯をはじめ、巨大なオブジェを好む気質があるのだろうか。
 小さくて可愛い印象のラバー・ダックを高さ9.5m 幅9.5m 長さ11mに巨大化させて、大阪天満橋八軒茶屋の大川(旧淀川)に浮かべている。
 常設ではなく8月1ヶ月の期間限定・・。というわけで8月某日八軒茶屋を訪れた。
 ちなみに私にとってラバー・ダックは初見ではない。
 平成21年(2009)以来11年ぶりの再会。

<平成21年12月 八軒茶屋にて>

    

 前回は11月の昼間の撮影・・今回は連日猛暑日のなか夜間の撮影を試みた。
      


 オランダの芸術家、フロレンティン・ホフマンが2007年に製作。
 河川や海などの水辺をバスタブに見立て、街並みをも背景として取り込んだパブリックアート。
 外側はポリ塩化ビニルのシートを組み合わせて風船状に作られており、水上に浮かべた台の上に接合され、台上に置かれた送風機で膨らませる構造となっている。

 「子供のころの記憶や、思い出を思い起こさせ、幸せや喜びの象徴」として、見る誰もが微笑み、老若男女を楽しませている。
    


 1992年、香港から出航し太平洋上で悪天候に見舞われた貨物船のコンテナから海に放り出され漂流したラバー・ダック達は、その後3年ほどかけ太平洋を一周し沿岸各地に漂着した。また一部は北極海を通り抜け、2007年には大西洋まで足を伸ばした。
 このことが話題となり、それを受け作者が製作したと言われる。
 そのためなのだろうか、この巨大オブジェは世界中をめぐって展示が行われている。
    

 およそ3万個のダック達が漂流して28年・・。すべてが回収されていないという。
 どこかで、世界中を巡ったラバーダックが漂着しているかもしれない。
 探してみるのも一興・・

 彼らの目にはどのような世界が映ったのだろうか・・
 想像するのも一興・・。

 そういえばわが家にも・・・昔、友人たちと勝手に(許可なしで)・・某河川上流から河口までダックレースをして無事にトップでゴールしたのが、居候している・・。
まずはわが家の湯船で久しぶりに浮かべるのも・・一興かな・・・。


============追伸=================
 
 先月のWEB MAGAZINで登場した『づぼらや』新世界本店の巨大フグ提灯
 2020年9月3日、残念ながら閉店の準備として撤去されました。

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