JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Nov. 2020

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■迦陵頻伽  川村由幸

成田市の龍正院に撮影に出かけてきました。ここは仁王門が重要文化財なのですが
それ以外に天女(いままで天女と思っていた)の天井絵と欄間彫刻があり、私はこれが大好きです。
  


作者は「狩野柳元」と署名されていますが検索してもヒットする情報はありませんでした。名もない狩野派の絵師ということでしょう。
私は、これをいままで天女の図とばかり思い続けておりました。
調べてみると「迦陵頻伽」カリョウビンガと読むようです。上半身が人で下半身が鳥という極楽浄土に住む
声の美しい想像上の生物とのこと。
そう言われて上の画像を見直せば、下半身は人でなく鳥なんだと納得する表現になっています。よく見ると翼もあります。
天女は翼ではなく羽衣で飛ぶのでしたよね~。


    

この天井絵以外に上の画像のような欄間彫刻があります。これも迦陵頻伽です。
彫刻の方は翼が大きく描かれており、天女と思うほうがおかしい構図です。鳥が協調されていますね。
でも観世音の額のある中央右側の迦陵頻伽には人の足が描かれているような気がします。勘違いですかね。
ともかく、好きな天井絵と欄間彫刻の正体がはっきりし、間違っていた認識が正しく訂正されたことを喜んでいます。

 

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