JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Jan.2021

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■ 積雪の宇和島 野崎順次

伊達家の城下町、宇和島には名庭園が多い。以前から、1月7日―9日に訪問することを決めていた。その日が近づくにつれて、東京地区の新型コロナ緊急事態宣言、大寒波到来などネガティブな要因が立ちふさがってきた。が、ひるまず決行した。

1月7日早朝、大阪からJRを乗り継いで、宇和島に向かった。風がきつく、瀬戸大橋では風速25kmを越えたので、15分くらい緊急停車した。その後、ずっと雪の気配はなかったが、内子駅あたりで、吹雪き始めた。大洲城は吹雪で煙って見えた。

  

昼過ぎに宇和島に着いた。積雪はない。キャリーバッグに撮影機材を入れて、ホテルから歩いて10分くらいの西江寺、明源寺の庭園を撮影した。その直後に風と雪が強くなり、屋外はあきらめた。いったんホテルに戻り、多賀神社凸凹神堂に出かけ、性文化財の研究に没頭した。

    

7日の夕方から降雪が本格的となり、8日の朝までに20-30cmの積雪となった。さらに雪が断続的に続いているので、庭園のディテールを見ることはできない。そこで、宇和島城、伊達博物館、天赦園庭園に行くことにした。雪のため、キャリーバッグは使えない。リュックサックを担いだ。宇和島城天守閣へは桑折氏武家長屋門側から登った。途中の石段は乱積みで吹雪の中では足元が不安であった。

      

天守閣と四方の眺望。外に出ると吹雪の頂点だった。上り立ち門に降りた。

       

伊達博物館は伊達家の屋敷跡で展示は撮影禁止である。庭園の一部が残る。雪で分かりにくいが池泉鑑賞式で、江戸末期の武家らしい石組が残っているようだ。

     

名勝天赦園は受付にも園内にも誰もいなかった。雪景色がなかなかよい。滑らないように注意しているのに、凍り付いた敷石に薄く粉雪が積もっているところで、こけて、三脚付きカメラを守ると腰骨で着地してしまった。アイゼンなしでは不可抗力である。出るときにはじめて係員の人がいて入場料を払った。

          

ホテルに戻る途中で遅めの昼食を食べた。長いネギ入りかき揚げそばである。うまかった。

  

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