Monthly Web Magazine June 2021
■ 狛犬ってどっち??? 酒井英樹
「狛犬」。
神社の参道の脇に2体一対で座している石像を見たことのない日本人はほとんどいないだろう。
たいていの場合、口を開けた「阿」形の像と口を閉めた「吽」形の像で一対をなしている。
しかし、狛犬はこのうち1体で、もう1体は狛犬でないことを知る日本人は少ない。
狛犬の起源は6世紀に仏教伝来に際し、仏像を守る1対の霊獣の獅子(唐獅子)が本尊と共に伝わったのが始まりとされている。
霊獣 獅子
[インドライオンをモチーフに神格化した霊獣]
西本願寺(京都市)唐門
そのため、伝来当初は2体の姿に差異はほとんどなかった。
平安時代になると一方が、霊獣の獬豸(カイチ)を起源とする狛犬へと変わった。
霊獣獬豸(カイチ)[正義と公正を司る霊獣 頭に1本の角がある]
輪王寺大猷院霊廟(栃木県日光市)二天門
鎌倉時代の木造狛犬1対
神谷神社(香川県坂出市)
鎌倉時代までは狛犬は建物の中に置かれていたため木造がほとんど。以後は屋外に置かれることが多いため耐久性から石造がほとんど
東大寺(奈良市)南大門北面
鎌倉時代再建の南大門の北面には有名な仁王像と相対して狛犬が置かれている。
狛犬は角のある口の開けた方が狛犬。
だが、時代が新しくなるほど角は退化し小さくなり瘤のようになり、現在制作される狛犬には残念ながらほとんど角がない。
だから、口を開けているかしか見分けがつかなくなってきている。
意外と思われるが、京都市内には狛犬がいないことが多い。
狛犬の代わりに雌雄一対の動物が置かれることが多い。
一番多いのが 稲荷神社の狐
狛狐
源九郎稲荷神社(奈良県大和郡山市)
その他にも
狛鼠
大国主神社(大阪市)
狛牛
吉祥院天満宮(京都市)
狛虎
両足院毘沙門天堂(京都市 建仁寺塔頭)
狛猪
護王神社(京都市)
京都には十二支の狛犬が揃っているという。
最後に・・WEB-MAGAZINEで10年前紹介した
狛鯰??
大村神社(三重県伊賀市)
などなど・・
ちなみに、狛猫はというと・・
京都府京丹後市の金刀比羅神社の境内社木島神社・猿田彦神社にはあるという。
訪れてみるのも一興かな・・
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