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Monthly Web Magazine July 2021

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■ 「資料 旧国宝建造物指定説明」から(前号の続き) 附 苔の季節 大野木康夫


前号で、滅失した旧国寶について書きましたが、一部訂正があります。
原資料は昭和57(1982)年12月刊行ですので、それ以降に滅失した以下の旧国寶ついては滅失の記載がありません。
前号の執筆の際には、当初、記憶に基づいて橿原神宮拝殿、金山寺本堂を含めて記載しましたが、記憶違いがあるかもしれない(実際に大恩寺念仏堂を失念していました。)と思い、消去したつもりでしたが、金山寺本堂を消し忘れてしまいました。
その旨、通信員の酒井氏から御教授いただいたので、この間に、国指定文化財等データベースのデータと照合を行い、確認したところ、原資料刊行以降に滅失した旧国寶は、酒井さん御教授のとおり3件でした。

大恩寺念仏堂(愛知県) 屋根からの出火により滅失(失火として分類)
橿原神宮拝殿(奈良県) 神楽殿として移動の後、失火により滅失
金山寺本堂(岡山県) 失火により滅失

また、園比屋御嶽石門(沖縄県)については、戦災により大破し、いったん指定解除となりましたが、修復後、文化財保護法に基づいて重要文化財に再指定されています。
もう少し細かい部分では、台徳院霊廟(東京都)のうち1棟(奥院玉垣)、文昭院霊廟のうち2棟(奥院宝塔、奥院中門)、有章院霊廟のうち奥院宝塔は戦災を免れたものの指定解除となっています。
また、前号で名古屋城のうち22棟が戦災で滅失と書きましたが、「御殿」として包括されるものを個別に数えていたため、滅失したのは9棟でした。

以下に訂正後の滅失件数を記します。

風水害による滅失(1件)
日吉神社東照宮橋(滋賀県)

放火による焼失(6件)
普光寺毘沙門堂(新潟県)、延暦寺大講堂、延暦寺大講堂鐘台(滋賀県)、鹿苑寺金閣、妙心寺鐘楼(京都府)、松山城のうち3棟(愛媛県)

失火による焼失(7件)
長楽寺本堂(千葉県)、祐福寺塔婆、福寿院塔婆、大恩寺念仏堂(愛知県)、醍醐寺五大堂(京都府)、橿原神宮拝殿(奈良県)、金山寺本堂(岡山県)

落雷による焼失(3件)
延暦寺横川中堂(滋賀県)、大鳥神社本殿(大阪府)、法輪寺三重塔(奈良県)

山火事による焼失(1件)
醍醐寺経蔵(京都府)

飛火による焼失(9件)
福山城(松前城)のうち2棟(北海道)、重蔵神社本殿(石川県)、金櫻神社里宮境内中宮本殿、同東宮本殿(山梨県)、清水寺大日堂、同寺塔婆、興禅寺表門(長野県)、寶臺院大方丈、同院霊廟(静岡県)

戦災による焼失(65件、うち1件は修復後に重要文化財に再指定)
伊達政宗霊廟、伊達忠宗霊廟感仙殿、仙臺城大手門、同城隅櫓(宮城県)、東照宮社殿(茨城県)、浅草寺本堂、同寺塔婆、本門寺仁王門、東照宮本殿、台徳院霊廟のうち9棟、崇源院霊牌所、文昭院霊廟のうち18棟、有章院霊廟のうち18棟、厳有院霊廟のうち8棟、常憲院霊廟のうち8棟、日枝神社社殿、表門(旧薩摩装束屋敷門)、増上寺開山堂、表門(旧備前池田侯江戸上屋敷表門)(東京都)、気比神宮本殿(福井県)、大垣城(岐阜県)、五社神社社殿、諏訪神社社殿(静岡県)、七寺堂本堂、高岳院本門、性高院表門、熱田神宮海上門、熱田神宮鎮皇門、本遠寺楼門、名古屋城のうち9棟、東照宮社殿、猿面茶屋(愛知県)、観音寺本堂、大寶院本堂、西來寺奥殿(三重県)、四天王寺東大門、願泉寺書院・同茶室(大阪府)、西宮神社本殿(兵庫県)、松生院本堂、和歌山城(和歌山県)、岡山城天守、同城石山門、蓮昌寺本堂、同寺三重塔(岡山県)、廣島城天守、福山城天守、同城御湯殿(広島県)、永福寺本堂(山口県)、東禅寺本堂、宇和島城追手門、松山城のうち11棟(愛媛県)、湛浩庵(福岡県)、福濟寺本堂・前堂及廻廊、同寺青蓮堂・中門及廻廊(長崎県)、沖縄神社拝殿、首里城守禮門、同城歡會門、同城瑞泉門、同城白銀門、尚家霊廟(圓覺寺伽藍)、尚家霊廟(崇元寺)、末吉神社社殿、園比屋御嶽石門(修復後に重要文化財に再指定)、沖宮本殿、辨嶽石門(沖縄県)

(都道府県別)
北海道 1件
宮城県 4件
茨城県 1件
千葉県 1件
東京都14件
新潟県 1件
石川県 1件
福井県 1件
山梨県 2件
長野県 3件
岐阜県 1件
静岡県 4件
愛知県12件
三重県 3件
滋賀県 4件
京都府 4件
大阪府 3件
兵庫県 1件
奈良県 2件
和歌山県2件
岡山県 6件
広島県 3件
山口県 1件
愛媛県 3件(松山城は放火と戦災で一部ずつ滅失)
福岡県 1件
長崎県 2件
沖縄県10件(うち1件は修復後に重要文化財に再指定)
合計 91件

また、滅失とは関係ありませんが、現在は建造物に分類されている海龍王寺五重小塔、元興寺極楽坊五重小塔(奈良県)は、明治34(1901)年8月2日付けで旧国寶に指定されたようです。(当時は建造物は「特別保護建造物」に指定されていた。)

2月続けて同じネタで書くのもどうかと思うので、最近再訪した西芳寺(…)について、6月現在の拝観について書きます。

西芳寺は、かなり以前から完全事前申込制での参観になっています。
参拝申込は、2か月前から1週間前必着で往復はがきで申し込み、返信ハガキを受付で提示して入山します。(参拝冥加料1人3,000円以上)
現在は、前日までのオンライン申込もできるようになっています。(参拝冥加料+諸費で1日4,000円)
以前は、午前、午後の開門でしたが、現在は原則午前のみの開門だそうです。
入山後、本堂で集合して参拝(写経や祈願札の作成、奉納など)を行い、その後順次庭園を拝観するようになっていましたが、現在は、受付後、個々に本堂で参拝(写経、奉納)し、その後庭園を拝観します。
なお、現在は上段の庭(枯山水の石組など)は非公開となっており、下段の庭のみの拝観となっています。
いずれにせよ、少人数の参拝で、2時間弱、庭園の眺めを堪能することができ、非常に贅沢な時間を過ごすことができます。

今年6月の参拝時の写真

    

8年前の参拝時の写真

    

8年前は拝観できた上段の庭

    

苔つながりですが、苔が印象に残った訪問地

平泉寺境内(福井県勝山市)

  


慈照寺(京都市左京区)

  

祇王寺(京都市右京区)

  

 

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