JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Sep. 2021

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■ ウォーキング中に出会うのが楽しみな生き物  川村由幸

緊急事態宣言の最中、週に一回の出勤以外は自宅でテレワーク、家内が車の運転をしないため飲料など重たいものの買い出し、そして出勤せず、雨が激しくなければ必ず出かけるウォーキング。
これが今の私の行動の全てです。
ゴルフも行かず、外食もしない。もちろん旅行もカメラを持って撮影にも出かけていません。
全く、何が楽しみで生きているのか分からない自粛生活を続けています。
そんな中でも唯一楽しみなのがウォーキング中に出会うチョッピリ珍しい生き物たちです。
ウォーキングしているのは利根川の調整池の中でこんな風景です。

  

出会える生き物で多いのは鳥類で一番にめずらしいのはカワセミです。
 
水路の小魚を狙いに来ているのでしょう。近づくと水面ギリギリをものすごいスピートで飛んで逃げます。
瑠璃色の弾丸のようでかっこいいのです。ただ必ず歩いている私の進行方向に逃げますから、もう一度遭遇することが出来たりします。

日本の国鳥、雉にも良く会います。
  
今年は親鳥(♀)に連れられた幼鳥にも三度会うことが出来ました。不思議なのは遭遇の瞬間、脱兎のごとく逃げるのですが親鳥も含めみんなバラバラの方向に逃げて行きます。近くの上空にはトンビが餌を求めて滑空しているのもしょっちゅうで襲われはしないかと後ろを振り返ることもあります。

カルガモの引っ越しにも会いました。
 
調整池の傍に柏市の水処理場があり、そこに小さな池があります。そこで出産し、私がウォーキングしている水路に子育てのための引っ越しで調整池の堤防を越えようとしている時に鉢合わせしました。
引っ越しに出会った時期は失念していますが、今、調整池の水路で見かけるカルガモはどれが親鳥か見分けがつかないほど成長しています。

チョウゲンボウにも会えます。
 
この鳥は鳩ぐらいの大きさで羽を素早く動かし高速で飛びます。特徴的なのはホバリングすることでしょうか。
田んぼや土手の上空で体を斜めに保ち、小刻みに羽ばたいて上手にホバリングしている姿をよく見かけます。
三羽、一緒のところを一度見かけましたがほとんどが単独でいつも同じ地域で遭遇していますから、テリトリーがあるのだろうと想像しています。

哺乳類で珍しいのはイタチです。
 
水路の土手に棲み処があるようです。こいつ、人を見て逃げるのですが、一目散ではなく、少し逃げては振り返るのです。
もちろん、近づくことはできませんが、なんとなく愛嬌を感じてしまいます。
たぬきも居そうなんですが、ウォーキング中に会ったことはありません。自宅近くで見たことはあるのですが。

昆虫も多いです。蝶にトンボにバッタ、多く見かけますがめずらしいのはギンヤンマぐらいでしょうか。
 

これより大型のオニヤンマには今年は巡り合わずじまいでした。
このように私のウォーキングコースにはまだまだ豊かな自然が残されているようです。これを楽しみにウォーキングを続けて行きたいと考えています。
それでも、九月に入って始まった稲刈りが終了してしばらくすると、調整池の生命観はどんどん薄れて行きます。
筑波おろしが強く吹き出すころには、カラスさえ見かけなくなり、生命観が途絶えます。
そんな中、広い調整池の中を冷たい風を受けて一人歩くのもそれなりに快感なのです。
身体の続く限り辞めずに歩いていたいものです。

 

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