JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Nov. 2021

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■ 久しぶりの撮影行 川村由幸

 

コロナウィルスの感染拡大が予想以上に収まり、久しぶりにカメラとジンバルを持って県境を越えました。
出かけたのは茨城県桜川市の真壁、重伝建の街並みを撮影しました。

  

東日本大震災で甚大な被害を受けた真壁。10年の時間が過ぎ、なんとか復元されたようです。
点在する登録文化財を撮影して回りました。
先ず思ったことはジンバルとカメラがとてつもなく重いということでした。片手では長い時間保持できず、両手を使う始末。
コロナ禍の一年半でパワーを失ってしまったようです。

  

偶に車が通りますが人とは全くと言っていいほど出会いません。静かなものです。
感染が収まりつつある現在なのにですが観光客はおりませんでした。これが続けばいずれ文化財の維持も困難となるのでしょう。

  

上の右側の建物は屋根瓦が激しく損傷していて、修繕に手が付いたのも随分と遅くて劣化が心配でしたが無事復元されました。
登録文化財で残っているものは全て修繕が済んだと言える状況となっています。
ただ、修繕は済んでも人が居住しなくなったと思われる登録文化財が増加したように思われます。

  

上の2軒、空き家です。門の前が雑草で覆われていては文化財も台無しです。右の家は以前確か花屋でした。
商売が成り立たないのでしょうね。

  


伊勢屋旅館と橋本旅館、真壁には2軒の登録文化財の旅館があります。伊勢屋旅館は営業を続けているようですが
橋本旅館の方は人も済んでいないように見えます。
住む人が居なくなった民家の文化財、どのように維持されるのでしょう。いずれ消滅してしまう運命なのでしょうか。
そんな中、最後まで修繕をつづけていた村井醸造が完全に復活していました。

 

公明という銘柄の日本酒を作り続けています。是非これから100年200年と日本酒を作り続けていってほしいと願わずにはおられません。
東日本大震災の被害からは何とか復活したものの、街並みにはなぜか衰退の香が漂っています。淋しい限りです。
経済的な自立の元、文化財が存続してゆくのは人口の集中している関東でも難しいことのようです。

 

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