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Monthly Web Magazine Nov. 2021

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■  最後に残った秘境? 秋田県北秋田市 小又峡 瀧山幸伸

小又峡は最後に残った秘境とか日本三大秘境とか呼ばれているらしい。確かにアクセスは渡し舟だからすこぶる悪い。現地は深い峡谷と数多くの滝で荒々しく、三段の滝からさらに遡上しようとすると泳ぐことになるらしく、上級者でも滑落して危険極まりないそうで、うっかりすると遭難してしまう。さらに悪いことに、上流で雨が降ると洪水が一気に押し寄せるので流されてしまう。実際、数年前にはツアー客とガイドが鉄砲水に流されて遭難してしまった。そんな恐ろしい土地だが、紅葉が美しく、尾根には天然記念物の杉やネズコの巨樹が茂る。

小又川の上流は桃洞の滝につながっていて、以前訪問した時には紅葉が美しく感激もひとしおだった。桃洞の滝をさらに遡り尾根を越えれば安の滝だ。色々調べてみると渡し船桟橋から三段の滝までの往復は遊歩道が整備されていてそれほど危険でもないらしいとのことで、今回初めて訪問したが、噂にたがわず実に素晴らしい体験だった。

    

 

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