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Monthly Web Magazine May 2022


■ パンダ「タンタン」のちょっとシリアスなストーリー   野崎順次

 

生年月日 1995年9月16日

王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(メス、現26歳)は、2000年7月にコウコウ(初代、オス)と共に来園した。阪神淡路大震災の復興に取り組んでいる市民、特に子どもたちのために神戸でのパンダの共同研究を実現したいという神戸市の思いに中国が答えてくれたのである。

コウコウはその後、形成不全のため、2代目と入れ替わったが、自然繁殖の相性が合わず、人工繁殖が何度か試みられた。しかし、赤ちゃんの死産、早死などがあり成功していない。さらに、2代目コウコウは2010年9月、麻酔採精後の嘔吐物誤嚥のため窒息死した。それ以来、タンタンだけとなった。最初の中国への返還は2010年の予定だったが、10年延長され、さらにコロナの影響で2022年末まで延長されている。年25万ドルの貸与契約である。

ただ新たな契約中であっても、帰国できる状況になれば帰す可能性はあるという。人間の70代後半に相当するタンタンは昨年春に心臓病が発覚。検査や治療を優先するため公開を中止する日もあり、帰国は体調と相談しながらの判断となる。

2022年2~3月の現状は、申込不要だが、観覧受付時間は11時~13時に限定、立ち止まらずゆっくり進みながら見る。カメラで撮影はできるが、フラッシュ不可。また、タンタンが寝室に引っ込んでいたら、モニター画面での観覧となる。

 

2010年10月17日 タンタン 15歳 元気なころ

  

2011年3月21日

 

2022年2月25日 タンタン 26歳 とってもおばあさん

    

2022年3月3日

   

11時から13時の間に、何度も並んで撮影をされてる神戸パンダおばさま追っかけ隊?

  

参考資料
(1) 神戸市立王子動物園 専門員 奥乃弘一郎 「講演2 王子動物園におけるジャイアントパンダ飼育のあゆみ」ジャイアントパンダ来日40周年記念講演会、2013年12月1日国立科学博物館
(2) 神戸市立王子動物園公式ウェブサイト


 

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