Monthly Web Magazine Sep. 2022
■ 日本の公共表示の英訳に関する若干の考察 野崎順次
① 新幹線車内放送
新幹線の車内放送の英語翻訳版は次の通りだが、何やらこなれが悪い気がする。
この電車は超特急のぞみ号新大阪行きです。
途中 新横浜 名古屋 京都に 終点新大阪に到着するまでに停車します。
This is the
Nozomi superexpress bound for Shin-Osaka.
We will be stopping(make a brief
stop) at Shin-Yokohama, Nagoya, and Kyoto stations before arriving at Shin-Osaka
terminal.
英国ロンドンの主要ターミナルのプラットフォーム別時刻表の表現をまねると非常にすっきりすると思う。
This is the Nozomi superexpress for Shin-Osaka, calling at Shin-Yokohama,
Nagoya, Kyoto and Shin-Osaka.
② エスカレーター
エスカレーターで歩くことは、国際的に広く認められていると思われる。例えばロンドンの地下鉄の注意書きに「歩くな」はない(2016年現在)。
Please stand on the right.(右立ちでお願いします。)歩く人は左側という訳。
Hold the handrail keep
clear of the edge.(手すりを持ち、端をあけてください。)
Take extra care with
children.(お子様には特に気をつけてください。)
Dogs must be carried.(犬は抱いて乗ってください。)
No
smoking allowed.(禁煙)
ところが日本では、慣例的に、あるいは常識的に歩く人が多いが、全面的に歩行禁止とされる。JR大阪駅の例、
Please stand in two lines on the escalator without walking
(エスカレーターでは2列で立ち止まってください。)
“without walking” というのがダメ押し風直訳で固い感じがする。
さらに、手すり(ベルト)にも書かれている。
エスカレーターに乗っている間は、その場に立ってください。
(Stand in
place while riding the escalator.)
“riding”
は乗るという意味だが、どちらか言うと、操縦や運転するニュアンスがあるので、この場合はほぼ誤訳ではなかろうか。
その他日本での注意事項は、
Hold on to the handrail(手すりをつかむ)
Wheeled luggage
goes a step above you(キャリーバッグは上段に)
No strollers. No big
luggage.(ベビーカー・大きな荷物はエレベーターをご利用ください。
③ 点字ブロック
「点字ブロックは、正式名称を「視覚障害者誘導用ブロック」といいます。視覚障害者が足裏の触感覚で認識できるよう、突起を表面につけたもので、視覚障害者を安全に誘導するために地面や床面に敷設されているブロック(プレート)のことです。
(日本視覚障碍者団体連合ウェブサイトより)」
しかしながら、この形状のものは、英語でブロックとは表現せず(プレートはややましだが)、正確にはタイルだと思う。プラットフォームで見た床タイルは300角の無釉せっ器質タイルと思われるが、其れと隣接して、同じサイズの点字タイルが貼ってあった。
駅の構内放送を聞いていると、「黄色い点字ブロック」や「黄色い線」という言葉が多く使われるが、南海河内長野駅では、きちんと「黄色いタイル」と言っていた。
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