Monthly Web Magazine Nov. 2022
■京都大学構内の建築 野崎順次
わがJapan
Geographic(JG)仲間には、京大卒業生や根っからの京都人がおられ、極めて秀でた撮影レポーターである。その方々をさしおいて、京大構内の興味深いレトロ建築を紹介するのは、はなはだ恐縮と感ずる。考えてみると、これまでJGに京大の建築群が採り上げられなかった理由の一つは、重要文化財がないこと(非公開の清風荘のみ)。もうひとつは、新型コロナのため自由見学が規制されているから。
それはさておき、国登録有形文化財の建造物は構内だけでも数件以上あり、また、未指定未登録ながら、現在でも使用されているレトロ建築が少なくない。先日の11月6日(日)に撮影に行ったが、多くの門に守衛さんはおられず、構内は普通の町中と同じ解放感があり、三脚撮影に何の不都合もなかった。さすが京大だ!!?
フルレポートは後日にまわし、今回注目した建築を簡単に紹介する。キャンパスは南から、吉田南、本部、北部の三箇所である。
吉田南構内
国登文 京都大学総合人間学部門衛所(旧第三高等学校門番所)
明治/1897 真水英夫の設計と伝える。
国登文 京都大学総合人間学部正門(旧第三高等学校正門)
明治/1897 真水英夫の設計と伝える。
本部構内
吉田地区に広がる京都大学のメインキャンパスとなる本部構内(中央キャンパス)は明治30年の開学時に始まる長い歴史があり、各時代に建てられた近代建築が数多く現存し、その多くが現役である。
国登文 本部構内正門(旧第三高等中学校正門)
明治/1893 設計は山口半六と久留正道
百周年時計台記念館
大正14年 武田五一の設計
国登文 尊攘堂
明治/1903 品川弥次郎が創設した記念堂に由来
国登文 文学部陳列館
大正/1914 京大営繕の山本治兵衛と永瀬狂三の設計
旧土木工学教室本館(総合研究14号館)
大正6年築 山本治兵衛と永瀬狂三が設計
大正13年に左右両翼が延ばされて現在の規模
旧建築学教室本館(総合研究15号館)
大正11年 武田五一の設計
北部構内
国登文 農学部表門及び門衛所
大正/1924 分離派建築会に参加した森田慶一の秀作
国登文 農学部演習林事務室
昭和前/1931 大倉三郎の設計
おまけ
「進々堂 京大北門前」
昭和5年創業の老舗喫茶店、京大学生・研究者の書斎といわれる。
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