Monthly Web Magazine Nov. 2022
■ 建造物撮影における仰角について 大野木康夫
主に文化財建造物を撮影していると、被写体の建造物との距離を物理的制約によって十分取れなかったりします。その場合は、広角レンズを使用することになりますが、仰角が大きくなりすぎるので、写真が大きく歪んだものになります。ゆがみは現像ソフトを使えばある程度修正できますが、屋根などについては目の高さから見て見えないので、写すことができない、又は少ししか映らないために修正がききません。これを補うため、条件が合うところでは一脚を使って差し上げ撮影を行っています。
また、被写体の建造物が瑞垣や高低差などでよく見えない場合も、状況によって差し上げ撮影を行っています。
最近の撮影例を紹介します。
距離が取れなかったもの
旧中埜家住宅(愛知県半田市)
隣の雑居ビルの外階段から
旧内田家住宅(愛知県知多郡南知多町)
たいていの建造物は距離を取って撮影できます。
新納屋及び表門の外側などは距離が取れません。
幡頭神社(愛知県西尾市)
六所神社拝殿・幣殿・本殿(愛知県岡崎市)
八幡神社(奈良県生駒郡三郷町)
藤田家住宅(奈良県生駒郡平群町)
敷地は広いのですが、建造物が大きすぎるので差し上げ撮影を行いました。
奈良県橿原市の今井町は通りが狭いので差し上げ撮影を行う率も高くなりますが、現住建造物の場合、あくまで「公道から見える範囲で角度が変わること」を念頭に置く必要があります。
稱念寺本堂
中橋家住宅
豊田家住宅
今西家住宅
上田家住宅
音村家住宅
高木家住宅
高さによるもの
久麻久神社(愛知県西尾市)
土呂八幡宮(愛知県岡崎市)
上地八幡宮(愛知県岡崎市)
六所神社楼門(愛知県岡崎市)
高山八幡宮(奈良県生駒市)
添御縣坐神社(奈良市)
差し上げ撮影を行わなかった例
小栗家住宅(愛知県半田市)
現住の個人宅のため
旧内田家住宅の大部分
今井町でも旧米谷家住宅や河合家住宅は前が駐車場なので距離を取ることができます。
正蓮寺大日堂(奈良県橿原市)
人麿神社(奈良県橿原市)
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