JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Dec. 2022


■ 見学料と写真撮影 川村由幸

やっと車が自由に使える環境に戻り、成田山新勝寺に向かいました。
到着するとなぜだか駐車場がひどく混雑していて、撮影を断念。近くの房総のむらへ向かいました。
人で一杯の新勝寺を撮影せずとも2月になれば静かな新勝寺が撮影できるはずです。
早朝の房総のむらはことのほか静かです。
  
左から旧学習院初等科正堂・旧御子神家住宅・旧平野家住宅で、旧学習院初等科正堂・旧御子神家住宅は重要文化財です。
房総のむら本体は見学料というか入場料をとりますが、この文化財地区は誰でも自由に見学できるようになっています。
他にだれもいない静かな時間をカメラと一緒に過ごしていて、ふと思ったのは10月に出かけた京都のことでした。
 
二条城と東寺を訪問したのですが、そのどちらにも写真撮影に厳しい制限がありました。二条城は二の丸御殿の内部、東寺は堂の中の仏像が撮影禁止でした。
同じ文化財のありようでも房総のむらのように誰でも無料で自由に見学撮影ができるものがあるにもかかわらず、見学料を徴収しながらも見学撮影に制限のある施設もある。

京都の前に訪問した姫路城は見学料はありましたが、撮影に制限はありませんでした。
なぜ、このような違いがあるのでしょう。
あくまでも私の意見ですが、その施設が教育に重きを置くか、観光に重きを置くかで違いが出てきているように思います。
教育側が房総のむらの文化財地区、観光側が京都の施設。姫路城はその中間でしょうか。
それでもなぜ京都の施設は撮影禁止なんでしようか。
仏にカメラを向けるのが不敬だというなら東大寺の大仏や鎌倉の大仏も撮影禁止にすべきです。
文化財に向けてフラッシュをたく愚か者などめったに存在しません。
ルーブル美術館では写真撮影はもちろん、名画の模写をしているひともめずらしくないと聞いています。
この違いは何によるのでしょう。
日本人の何が撮影禁止にするのでしょうか。日本は遅れているのか、進んでいるのか。
小さな国としては文化財に恵まれている日本、それを守り残してゆくためにはどうしてゆくべきなのでしょうか。
話が大きくなりすぎました。自由に撮影させてもらえない人間の鬱憤です。

 All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中