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Monthly Web Magazine Dec. 2022


■仏教美術資料研究センター(旧奈良県物産陳列所) 上田忠司

11/19(土)、特別公開された仏教美術資料研究センター(旧奈良県物産陳列所)を訪れました。設計は建築史家関野貞の設計で、1902年(明治35年)竣工、1983年(昭和58年)に国の重要文化財に指定されています。
この作品で関野は建築家としての才能に限界を感じ、歴史家の道を進む決意を固めた(という噂の)曰く付きの建築ですが、平等院鳳凰堂をモデルにした全体構成や各部のプロポーションはよく整っていて、奈良社寺とインド・イスラム様式をごった煮した雰囲気でも違和感を感じさせません。
また、このような何でもアリの意匠を実現した施工者の技術も高いものがあります。部材に寸法ムラがなく、角もピンピンでエッジが効いている感じです。関野の立面スケッチも上手くはないですが、誠実な人柄を感じさせます。
関野の師匠である辰野金吾が設計を手がけた奈良ホテル・武雄温泉楼門・新館と比較して見ると面白いかもしれません。

正面外観⓪

唐破風と鬼瓦 顔がイカつい①

正面切妻②

書庫庇の大仏様木鼻 微妙に湾曲する繋梁③

関野ホール内観 出隅に鬼斗④

閲覧室のアーチ(復原)⑤

関野の立面スケッチ ⑥




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