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大阪府岸和田市 だんじり祭

( Danjiri, Kishiwada City, Osaka)

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Sep.16.2017 中山辰夫

岸和田の”一年の計は祭にあり“といわれるほどに、有名な”だんじり”は300年以上の歴史を誇る勇壮な祭事である。

2014年の日本経済新聞によると、2013年の「岸和田だんじり祭り」の経済波及効果は岸和田市で約25億円、泉州地域全体で約40億円であった(堺都市政策研究所の調査)と記事にあった。祭りの勢いはそのまま続いており、祭りは文化の継承だけでなく地域に大きな経済効果をもたらし続けている。

この数日間、岸和田の街は市民を中心に燃え上がる。

 

台風18号の影響が心配されたが、平成29年度のだんじりは、9月16〜17日に実行された。小雨の中であったが多くの観客が全国から押しかけたようだ。

重量4トンを越える「だんじり」を曳いて町中を走りまわる祭りのスピードと迫力は圧巻で、期待通りであった。

観覧−今回は桟敷席からの見物及び撮影で終わった。交差点前に設けられた椅子席から各町会の「やりまわし」を見る。二十二町の山車(だし)が次々と続く。

    

中町のやりまわし 地車:1913(大正2)年完成、入母屋型

                 

やりまわしは走りながら交差点を勢いよく方向転換することをいう。岸和田弁の、行って(やって)回すが語源ともいわれ、きれいに曲がると観客から万雷の拍手がおくられる。危険の度合いが高く、今年も若干の負傷者が出た。長蛇の列を組む担ぎ手には役割が決められている。

曳くのは各町内の人々。数十人から千人に近い参加もあるとか。各組で参加者人数が異なる。岸和田出身者はこの日ばかりは地元へ帰省して祭りに参加する。

曳行の役割

 

0−纏持ち−地車の先頭に立ち、町のシンボルを担いで走る人。

  

1−鳴り物−大太鼓、小太鼓、笛、鉦を担当。通常、青年団から鳴り物係が選ばれる。

 

2−綱先(つなさき)・綱中(つななか)−だんじり曳行の主動力。曳き手のうち、曳き綱の先頭を綱先、中ほどを綱中と呼ぶ。綱先は曳き綱がたるまないように綱を張り、綱中は進行方向に全力で綱を曳く。

  

3−綱元(つなもと)−だんじりに一番近い曳き手を綱元と呼ぶ。やりまわしの時に綱中の力を だんじりに伝える重要な役割を果たす。

  

4−前梃子−コマの回転面と地車の間にヒノキ材の梃子を差し込み だんじりを制御する。やりまわしの時、内側の前梃子は旋回のきっかけをつくり、内側のコマの回転を抑えてだんじりを曲がりやすくする。左右二本の前梃子を操作する係は非常に危険な役のため、かなりの熟練を要する。(ハナテコ)

  

5−大工方−大屋根1名と小屋根3名で地車曳行の指揮を取る。だんじりの大屋根や小屋根で団扇を手に華麗に舞う。また だんじりの前方が見えない後梃子に進行方向を指示する。地上4mの上で、着流しを着て、飛行機乗り(片足立ち)をするなど大技が見られる。祭りの花形である

    

6−後梃子−だんじりの舵取り梃子で長さ約3.5メートル。大工方の合図で左右にくくり付けられた綱(ドンス)を引いたり、肩で押すなどし、だんじりの向きを変える。20人〜30人で担当する。

        

次世代への継承−少子化・高齢化が当てはまらない

     

女子−岸和田ではだんじりの期間、女子は写真のような「編み込み」のヘアスタイルでおしゃれするとか。

 

熱心な観客

    

熱気—通りを埋め尽くす

         

最後に「やりまわし」

       

祭りが終わると同時に、来年への準備が始まる。


Sep.2012 大野木康夫 source movie

 

2012.9.15撮影 

 

大阪平野を中心とした地域の秋祭りの多くでは、だんじりが曳行されます。

だんじりには担い棒が付いた上だんじりと、前梃子や後梃子が付いた下だんじりがあり,岸和田を中心とした地域では下だんじりが曳行されています。

岸和田旧市域のだんじり祭は22台が参加する泉州最大規模のもので、マスコミでも取り上げられ、最も人出が多くなっています。

祭礼は9月の敬老の日前の土日、今年は15日が宵宮、16日が本宮でした。

9月1日と宵宮前日にも試験曳きが行われます。

曳行の時間は、宵宮の曳き出しが6時から7時半、午前曳行が9時半から11時半、パレードと午後曳行が13時から17時、灯入れ曳行が19時から22時、本宮の宮入りが9時から12時半、午後曳行が13時から17時、灯入れ曳行が19時から22時と、両日とも休憩をはさんで一日中曳行コースを走りまわります。 15日の宵宮を見るため自宅を始発の電車で出発すると、岸和田到着は7時前、曳き出しも終盤に差し掛かった頃でした。

駅を降りたら、商店街のアーケードから大手町のだんじりが出てきて駅前を南に曳行されていきました。

                    

午前曳行の観覧席を予約しているので、菊右衛門橋を通ってカンカン場に向かいした。

途中、紀州街道で、春木南のだんじりに遭遇しました。

        

だんじりの見所は、曲がり角を全速力で走りながら曲がる「やりまわし」です。

紀州街道の菊右衛門橋の南側で、曳き出しの終盤を見物しました。

並松町

           

北町

             

沼町

                       

7時半になり、曳き出しも終わったので、カンカン場の南側で休憩しているだんじりを見せてもらいに行きました。

大北町

         

中北町

                   

カンカン場(岸和田港交差点)の周辺には露店が多く出ており、頭を編み込んだ女の子が休憩時間に露店を楽しんでいました。

  

午前曳行はカンカン場(岸和田港交差点)に設けられた観覧席から見ました。

カンカン場(看貫場)は港の計量所があったことに由来します。

府道臨海線、本通とも広いので、全速力でやりまわしができる場所です。

本通側での見物は危険なので全面禁止になっています。

曳行の際の主動力は「綱先」、「綱中」に配置されている青年団(高校生から25歳くらいまで)で、その中に挟まれて少年団(中学生)、子ども会が綱を引いて感覚を身につけます。女子は高校生まで参加できます。

だんじりに近い曳き手は「綱元」と呼ばれ、綱中が曳く力がだんじりにうまく伝わるように調整して綱を曳きます。

前梃子(ブレーキ)は左右二本あり、やりまわしの時は内側の前梃子でコマ(車輪)の回転を押さえて曲がるきっかけを作ります。

屋根に乗っているのは大工方で、前が見えないかじ取り役の後梃子に操作の合図をします。

後梃子(舵)は25歳から40歳くらいまでの三十人組や十五人組などと呼ばれる20〜30人が綱や肩などで操作し、方向を調整します。

やりまわしはこれらの持ち場が息を合わせて行われます。

別所町

                  

並松町

                   

北町

               

大手町(小門・貝源のやりまわし)

       

堺町(小門・貝源)

          

南上町

             

上町

                

南町

                

紙屋町

            

下野町

           

中之濱町

                   

大手町

                        

中北町

                    

大北町

               

堺町

                    

中町

                 

本町

                        

曳行時間中、ひっきりなしにだんじりがやりまわしをしていきますが、1度もカンカン場に来ない町内もありました。帰路は春木まで歩いて、同日開催の春木だんじり祭を見に行きましたが、途中の紀州街道沿いで休憩中のだんじりを見せてもらいました。

並松町

        

下野町

   

永守橋(太鼓橋)では春木南のだんじりがパレードに向かうのが見えました。

                        

 

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