滋賀県東近江市 伊庭御殿址
The ruins of Iba palace, Higashiomi city, Shiga
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July 29,2023 大野木康夫
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所在地 滋賀県東近江市伊庭
国指定史跡(永原御殿跡及び伊庭御殿跡)
【国指定文化財等データベースから引用】
徳川家専用の宿泊及び休憩施設跡のうち,朝鮮人街道(ちょうせんじんかいどう)に近接する二つの遺跡である。家康(いえやす),秀忠(ひでただ),家光(いえみつ)らが将軍宣下,慶長(けいちょう)19年(1614)から元和(げんな)元年(1615)にかけての大坂冬の陣・夏の陣,寛永(かんえい)3年(1626)の後水尾(ごみずのお)天皇二条城行幸(にじょうじょうぎょうこう)に際しての上洛の途中で御殿が利用された。
永原御殿跡のある野洲郡(やすぐん)は,関ヶ原の戦いまで家康の最も西方の領地であった。御殿は本丸,二の丸などからなり,本丸は歪(いびつ)な四辺形を呈し,西辺の南北長136m,南辺の東西長が128.5mの規模で,周囲には高さ約3mの土塁,その外側に幅16~20mの堀が残る。発掘調査では,指図(さしず)に示された古御殿や御亭と考えられる礎石建物が検出された。
伊庭御殿跡は,彦根城(ひこねじょう)と永原御殿の中間に位置し,南北約90m,東西約35mの規模を持つ。発掘調査により石垣,石列,井戸が見つかり,石垣の位置が指図と一致する。主に食事や休憩のための施設であったと考えられる。これらは,幕藩制確立期に将軍の権威を示すために行われた上洛の実態を具体的に示した,全国的に見ても貴重な遺跡である。
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