滋賀県彦根市 佐和山城跡
Sawayamajo ato,Hikone city,Shiga
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Dec.2011 中山辰夫
彦根市佐和山町
佐和山城は、中山道と北国甲街道を共に押さえ、東国から西国へ向かう入口に睨みをきかせる要衝に位置する城であった。
城跡は、JR琵琶湖線彦根駅の北方、小高い山容の標高233mの佐和山にあり、車窓から「佐和山城跡」の大きな看板が目立つ。
彦根側と大手道側から見た佐和山城
安土城跡や小谷城跡が国史跡に指定されているのに比べ、扱いが違いすぎる。石垣も彦根城築城に際して徹底的に持ち去られ「悲運の城」のイメージが漂う。「破城(城割り)」の厳しさが分かる。後の彦根藩主井伊家発祥の地である井伊谷(浜松市引佐町 いなさまち)から移された菩提の龍潭寺が登り口である。
他に鳥居本本宿からのルートもある。
境内に入るとすぐに石田三成の像が立つ。
山門を過ぎると本堂である。
本堂玄関の梁に吊るされた鐘は佐和山城の陣鐘であり、本堂に続く廊下の桜が描かれた板戸は三成屋敷で使かわれていたものと伝わる。
三成の遺墨「残紅梅」、田中吉政の末裔が奉納した頭巾を被っている三成の肖像画はこの寺の什宝である。
境内の墓地を抜け城跡へ向かう。麓からの標高差は150m足らずである。
佐和山城跡全図とMAP
登山路は獣道に似た細い山道である。勾配のきつい所が2〜3ケ所ある。約15分で山の尾根に出る。
この尾根は鳥居本からの「かもう坂往還切通し」と称され、かつては旅人や牛馬の往来もあったと伝える山越の道。
「大洞弁財天・長寿院」・鳥居本・龍潭寺に通じ、佐和山城の上り口でもある。
さらに100mほど登ると、三段に分かれた曲輪へ。「塩硝櫓」と書いた看板がある。凹地が土塁に囲まれている。
周囲を切岸や堅掘そして土塁などで防備された曲輪であり、一隅に長方形の土坑が穿たれている。
瓦の散乱も確認されており、塩硝(火薬)を備蓄する建物が建っていたかも・・・。「西ノ丸跡」
塩硝櫓跡から直ぐ、竹林を過ぎると「西の丸跡」の案内板が建つ。
西ノ丸は、本丸の北西に位置し、「かもう坂通往還」(通称龍潭寺越え)の切り通しから本丸へ至る途中に築かれた丸である。
「本丸跡」
西ノ丸跡から少し急な坂道を登ると山頂に出る。ここが本丸跡である。標高233m。平坦な広場になており、周囲の見通し良好。
本丸は東西約100m、南北約45mの広さで、三成時代はここに五層の天守閣があったという。
隅石垣と千貫井
本丸跡の三角点を通り、50mほど下がると隅石垣がある。天守閣の石垣とされる。わずか二石である。
算木積みという技法で詰まれており、石垣隅部とされる。石材は上が湖東流紋岩、下がチャートで在地の岩石が使用されている。
千貫井と社
本丸の南斜面にある。祠の山側に水がたまっている。岩の間からしみ出る水を溜めたもの。
佐和山城の水源で、千貫分の値打ちがあるといわれた。徹底的に破壊された中で、当時の面影を伝える唯一の遺物とされる。
女郎ケ谷
関が原合戦の後の佐和山篭城戦で場内にいた女性たちが身を投じたと伝える谷。数少ない遺構
三日三晩死に切れない女の悲鳴が聞こえたとされる。
本丸からは、彦根城を眼下に見下ろすほか、彦根市街や琵琶湖、湖東方面までも一望に見渡せる。
モミジやサクラのシーズンは美景である
本丸広場の紅葉
時期的には少し早かった。
参考資料 彦根教育委員会、滋賀県教育委員会発行
参考資料 「石田三成写真集 石田多加幸氏著」より引用佐和山城復元図(石田三成同族会と友の会保管)
近江を制するものは天下を制する、といわれた近江の中心地佐和山は、北国街道と中山道を扼し、有事の際、馬を急がせば
半日の道程、という交通の要衝だった。
佐和山城平面図(石田三成同族会と友の会保管)
石田三成居城・佐和山城からめて搦手鳥瞰図(石田三成同族会と友の会保管)
三成が蔵入地の坂田郡田和田村に出した十三カ条の掟(龍潭寺蔵)
佐和山城からの出土品
佐和山城の遺構
絹本著色 石田三成像
江戸時代前期 66.8cm×34.3cm 青森市 杉山丕氏蔵 重要美術品
津軽藩に家老として仕えた杉山家に伝来する石田三成の肖像画。
杉山家は、三成の次男「源吾」を始祖とし、佐和山城落城の時に大坂城を脱出して奥州に落ち延び、津軽家にかくまれたという。
本像は、江戸時代に描かれた現存唯一の三成肖像画である。原本が失われた今、その価値は計り知れないとされる。
佐和山城跡から大洞弁財天と長寿院への参詣道「かもう坂往還切通し」から山道を歩く。かなり起伏に富んでいた。
一人で歩く初めてのルートはやはり心細い。甍が見えて一安心、奥の院に着く。
大洞弁財天と長寿院の境内に入る。極彩色の奥の院
楼門と仁王像
楼門は滋賀県指定文化財 極彩色である
社殿とモミジ
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