滋賀県甲賀市 最勝寺
Saishoji,Koka,Shiga
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Sep.2010 撮影: 中山辰夫
甲賀市水口町岩坂
天台宗
本尊:十一面観音菩薩
岩坂の集落から山の中へ、約500m参道を登ると立派な石垣と本堂が見えてくる。
コンクリート造りの参道を約300m進むと、左手に杉の大木が現れ、根っこにまだ新しい前垂れをつけた小さなお地蔵が祀られていた。
そこから道は二つに分かれた。左側は旧参道で、木々の間を行く。右側は工事用をかねた車道である。
訪れたのは3月の後半、古道は苔に覆われ、なすがままに任せた自然石の石段が不揃いに並んでいた。なんとも言えない趣があった。
石段は総数百段近くあったが苦にならなかった。山門近くに小柄な花が咲いていた。「梅花王連 バイカオウレン」の群生で素晴らしかった。
この花は彼岸の前後にしか咲かないとのこと。傍らの地蔵の赤い前掛けと小粒な白い花が重なって、その場が華やいで見えた。
最後の石段をのぼると本堂。普段は誰もいない。前庭には鎌倉時代の石塔が建っている。
杉林、苔、シンプルな石の並び、石垣、質素な本堂、お花、これらがすべて静寂で無垢の世界を作り出している。
最勝寺は延暦年間に最澄が創立したとされ、その中興は不詳であるが、天台宗の寺院で、檀家は無く、享保元年(1716)に僧智寂が再建したといわれている。
信楽町牧にあった慈光院信楽律寺は聖武天皇の建立で寺領でもあった。乱世で諸堂が廃滅し本尊は草庵に安置されていたが、明治10年4月1日に最勝寺と合併し全ての仏像は最勝寺に移管された。
本尊は秘仏で、8月10日の線に千日会に開扉され拝観できる。
板額は岡山県の岡山城主池田治政の書といわれる。
寺前の宝塔が市指定文化財である。
梅花王連
一場所にのみ群生している。小粒な花がかわいい。
宝塔
市指定文化財
弘安8年(1285)の銘があり、県下で2番目に古い石造宝塔である。
材質は花崗岩で、上部の相輪が九輪であるのが八輪欠損しているのが惜しい。鎌倉時代の作である。
十一面観音菩薩立像
最澄が27日間沐浴をして自ら等身大の像を彫り込み、民に授けたといわれるもの。
安置されている仏像群には平安時代や鎌倉時代のものが多い。
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