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滋賀県甲賀市 信楽 仙禅寺跡磨崖仏

Senzenjiato magaibutsu, Koka city,Shiga

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Dec.2010 中山辰夫

信楽町上朝宮

本尊:十一面観音

市指定文化財

旧街道からそれて、同町畑へ抜ける県道を進む。山側に1kmほど入ることになる。

途中には石仏が所どころに立ち、鎌倉期の石造宝篋印塔がある。途中には朝宮茶の茶畑が続いている。紅葉が美しかった。

岩谷川の渓谷に沿って進むと、右手に一段高く岩谷観音の懸崖造りの本堂が見えてくる。

岩谷山仙禅寺は、養老7年(723)開基で、山城鷲峰山金胎寺の別院といわれ僧坊があったという。

中世の戦乱で焼失したとされる。そこに十一面観音を祀る礼拝堂・《岩谷観音》があり、その近くに磨崖仏がある。

焼失した仙禅寺の奥の院跡の岸壁に彫刻された鎌倉時代の三尊の磨崖仏がひっそりと佇んでいる。

仙禅寺跡磨崖仏(せんぜんじあとまがいぶつ)

本堂の右下方にあり、花崗岩の巨岩に刻まれている。

岩壁の規模は高さ約490cm、横幅約390cm、奥行約420cmで、表面右半分の平らな面に地蔵菩薩坐像を配置する。

右上に不動明王立像を、左上に毘沙門天立像を彫出する、いわゆる特異な比叡山横川式三尊の配置になる造像である。

銘文は主尊の左側、毘沙門天立像の下端から3行23字を陰刻する。「建長元年(1249)・・・・・」

石仏の彫刻手法は、線刻、薄肉彫、半肉彫、厚肉彫、丸彫の5手法がある。

国内最古の石仏は、近年の発彫で出現した当麻石光寺(たいましゃこうじ)の弥勒坐像(奈良県)で丸彫である。

また石位寺(いしい)三尊像石仏(奈良県)は、ほぼ三角形の石に厚肉彫する、いずれも奈良時代前期の作とされる。

滋賀県内の石仏の最古は、金勝山中にある狛坂寺跡磨崖仏(栗東市—既報)で、奈良時代末か平安時代初頭の制作とされ、国内屈指の優秀作とされる。

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