滋賀県大津市 百間垣
Hyakkenkaki,Otsu city,Shiga
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Mar.17,2016 中山辰夫
百間垣(ひゃっけんかき)
大津市大物(だいぶつ)地先
百間堤は四ツ子川の水害防止のために、江戸時代の1858年頃から住民の手で、5年強の歳月を掛けて築かれた堤で、現在も当時の姿を留めており、そのスケールと迫力には驚かされる。
最寄り駅から散策を兼ねて現地まで歩く。JR湖西線志賀駅か比良駅から歩いて、志賀バイパスを越えるとすぐである。何れからもほぼ3km離れた地点にある。
今回は、比良駅から歩いて、南比良地先の「猪々垣」を経由して行く。
志賀バイパス越え
位置図
この地域は、比良山地と琵琶湖に挟まれた南北に細長い地形からなり、土石流によってつくられた複合扇状地である。堂満山、鳥谷山、比良岳を背に持つこの地は、一度大雨が降ると、急勾配の川が比良山系の急斜面を下り、四ツ子川に流れ落ち、そのため溢れて氾濫し土砂を流出してきた。
そこで築かれたのが「百間堤」である。
堤の完成で、大物、南比良の集落を洪水から守ると共に、生活用水と農業用水が確保できるようになった。
仕様
場所:四ツ子川流域 築造時期:1858(安政5)年 構造:石堤防 保存状態:良好 巨石の組合せで造られた"石塁群"のような構造物 全国でも例が見られない特異な形態である。
長さ 百間(約180m、実測は200余mある) 周りを一回りする。巨大な石も多く使われている。高さも分かる。
四ツ子川よりみる
天場 幅十間(約18m) テニスコートを思わせる広さとフラットさである。
石畳状(平均幅15m)に大石でガードされ、本流部に傾斜するように下がっている。
沈砂池〜水門〜水路 現在も現役で農業用水を送っている。
天端からの遠景
現在の四ツ子川の状況
戦後昭和23年頃より平成5年までの間に四ツ子川に多くの堰が構築された。堰堤の築造、錬石積谷止工、鋼製谷止工、流路工、山腹補強、緑化工事、などが続けられた。
施工年度(1948〜1993) (引用:滋賀県大津林業事務所)
百間堤周辺の状況
上流—1
園庭が土堤からコンクリート製に代わる
上流—2
上流—3
上流—3
堂満山にはとても近づけないので引き返した。
これだけの施設を設けてやっと川が安定したとなると、何もなかった頃は・・・・と思いながらダムや流れの様子を見ながら歩いた。
参考資料≪志賀町史、県土木資料、県大津林業事務所資料≫
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