滋賀県栗東市 野上神社濁酒祭(ドブロク祭り)
Nogamijinja doburoku matsuri,Ritto city,Shiga
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May 21,2016 中山辰夫
野神神社—濁酒祭 (ドブロク祭り)
栗東市上砥山660
栗東市上砥山に鎮座する日吉神社境内社の野神神社で、6月1日に近い日曜日に、濁酒(ドブロク)祭が行われる。 (今年は5月21日)
この地域に、1969(昭和44)年JRA栗東トレーニングセンター(略称 トレセン)が誘致され、山や竹林が削り取られ平地化され住宅地となった。
野神神社もJRA予定の丘陵地に鎮座していたので、1942(昭和17)年に日吉神社境内に移された。今は記念石碑と枯れた神木が残る。
移転後もしばらくの間、元の社地に神酒を供え神事を行っていたが、今は止めておられる。
祭りは、野神神社で神事が行われる。
その後日吉神社境内で、参拝者に神酒と料理が振る舞われる。この神酒が濁酒である。
この時の神酒に用いられる米(ミズカガミ)は、前年の5月中旬に決められた田で神饌用に収穫されたものが用いられる。
来年用の田は今年の田植祭りで決められる。
前方に見える森の付近が野神神社の旧所在地でした。
9月に抜穂式が行われ、酒造米としての玄米二斗が保管される。翌年3月下旬、その玄米を酒造用の白米に仕上げ、4月に元仕込みが行われる。
これは、酒米を蒸し、日吉神社の神酒殿で杜氏と副杜氏の二名、当番二名の計4名が米4升、もち米5合、糀2升5合と寒の水を使って仕込む。
4月下旬には、これと同様の仕込みをその量を増やしてもう一度行う。
5月下旬には、税務署による酒量とアルコール度数の検査を受け、神酒が出来上がる。神酒は濁酒の上澄みが供えられる。
祭りの当日、醸された神酒は、神事用の細首の徳利に入れられて神前に供えられ神事が行われる。
この濁酒酒祭を続けるには、税法上のトラブルが再々起こったとされる。
古くは「タル」が使われていた。神事の後、境内では「直会」が直ちに行われ、神酒がふるまわれる。
杜氏の担当者から酒作りの苦労話が語られる。どんな酒になっているか心配な日が続くようである。コウジカビの保管が難しくなったので毎年購入するようになった。
今年は、コウジカビに「イースト菌」が使われた。濃度15度前後、フルーツ感のある甘い香りが付きであった。 評価は上々でした。
直会に供される食事は昔から変わらない。サヤ豆の煮もの、笹ノ子の煮物、フキ、ワラビ、青菜のおひたしといった季節の野菜や山菜である。
ほかに、欠かせないものが「のしワカメ」。バリバリやりながらドブロクを頂く。このワカメは東海道を通って伊勢湾からもたらされる。湖東・湖南に受け継がれる神饌には、ヒジキや昆布、煮干しやチリメンジャコ、ブリ、タイなど伊勢湾の幸が数多く含まれる。
祭りは、農耕の守護神とされる野神と農民との神酒(濁酒)を仲介とした神人共食儀礼の一つであるとされる。
稲作の守護神である野神と村人が同じ神酒を口にし、ともに楽しむことで豊作を願う祭礼である。
また1776(安永5)年の記録によると当番は牛持ちの百姓が務めるとされており、牛の守護神として野神への信仰もうかがえる。
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