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滋賀県野洲市 岩蔵寺(がんぞうじ)

Yasu Ganzoji


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Oct. 2009 撮影/文: 中山辰夫

野洲市大篠原

天台宗

大笹原神社の南西約700mにある。国道8号線浄勝寺の交差点を右折し直進する。

大笹原神社へ向かう光善寺川橋を過ぎて、川沿いに700mさらに直進して右折しても行ける。集落を抜ける参道がある。

寺伝では弘仁年間(810~824)に最澄によって開基された天台宗のお寺。

南北朝時代の文和5年(1356)、佐々木六角氏の創建と伝える。

応永年間(1394~1428)に馬渕広定の祈願寺として再興され、薬師堂のほかに六坊が建てられ、寺領200石の寄進も受けた。

応永21年4月21日の馬淵氏による再興時の大笹原神社本殿の棟札(大笹原神社社蔵)に奉仕次第の供僧として「岩蔵寺 六人」

とみえ、また永正13年(1516)6月13日の屋根葺替えの棟札(同社蔵)に、聖の岩蔵寺梅本坊乗憲と桜本坊円清の名が記される。

大笹原神社の別当寺との伝えもある

真淵氏の滅亡に伴い衰退する。天正元年(1753)織田信長の兵火で焼けて荒廃。

江戸時代は薬師堂といわれる程度の規模であった。

のちに再興された。

なお寛永18年(1641)成立の縁起には毎年十王像の前で大般若経転読を行なうことが見えており、野洲川流域の十王像信仰の一端がうかがえる。

境内には小像を刻んだ室町後期の板碑も残る。貴船神社もある。

本堂・庫裏などを備えるだけの小寺で深い森の中に佇む。

木立の間の参道を300m程歩くと集落となる。参道の両側には小川が流れている。伏流水が豊富で、至るところに湿潤状態を呈していた。

「薬師さん」の名で親しまれている。大篠原だけでなく周辺の村々の信仰をも集めている。

平成21年より本堂の新設に着手。22年3月完成 信仰篤い地元民の協力による。

本尊の薬師如来は鎌倉時代のもので重要文化財である。

貴船神社

本堂左側、少し石段を登る。

小さな流造りの堂だが、老朽化して部材の損傷が激しい。

眼病に効果があるとのことで広く信奉されている。

小像

木造薬師如来立像

国重要文化財:彫刻:指定1909・04・05

鎌倉時代のもの。

ヒノキの寄木造、玉眼を嵌め、右手を屈臂して掌を正面にして五指を伸ばし、左手は垂下してやはり掌を正面に向け五指を伸ばす。

これは一般に釈迦の印とされ、本像は長く薬師として信仰されており、比叡山根本中堂の薬師の印を伝えるものと考えられ、鎌倉期

(13世紀)の薬師として貴重である。

秘伝とされ33年に一度開帳され、1986年(昭和61年)4月開帳法要が努められた。次回は2019年であろうか。

像は一説に阿弥陀像とも言われ、野洲地域の浄土信仰の広まりを示しているとも言われる。

重文は琵琶湖文化会館に委託中

 

≪参考資料:野洲郡史、大篠原のお寺とお宮さん、国宝大笹原神社の歴史と美術、寺院神社大辞典より抜粋≫

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