「大工道具 打刃物店」
所在地:東京都墨田区向島
墨田区向島で見つけた看板。大工道具、刃物などの製造販売の文字も見えるので、鍛治屋さんのようなこともされていたのかもしれません。
現場に出る大工さんではないのだろうけれども、亡くなった義兄が大工の棟梁だったので懐かしく見上げました。
亡くなった義兄は「聖徳」という戒名をいただいてあの世に旅立ちました。
10000円などの高額札にはとんと縁のなかった義兄の人生だったし、聖徳太子という恐れ多い戒名が何故義兄に?と疑問に思って調べてみると、聖徳太子は四天王寺や法隆寺など建築に関わり、建築・木工の守護神として信仰される、と辞書にあって、大工の棟梁に相応しい義兄の戒名としていただけたことを納得しました。
聖徳太子は寺院建築史上大きな存在であったので、江戸時代には職人(大工、左官、鍛治屋、屋根葺き、桶屋)などが工匠の祖として祭るようになり、工芸技能者の保護や個人の才能を尊重する政策をとったことから、建築、木工の守護神として信仰されるようになったそうです。
鎌倉の宝戒寺には、鎌倉でただひとつの聖徳太子堂があります。
また大工言葉にはおもしろいものが多く、現在何気なく使う言葉の中にも残っています。
立端・建端……タッパ(背が高いことに使用)。
うだつがあがらない。
かすがい(接合物の一つで夫婦に子がいると別れない、と使用)。
勝手(寸法が定めたものよりずれていることで、定めよりずれる勝手をする、と使用)。
くいつき(塗装用語で、塗膜の付着性のことから、良くくっ付いてくることを言う)。
縄張り(建物の外周と内部の主たる部分の線上に縄を張り、建物の位置を表すことから××さんの陣地のことを言う)、などなどがあります。
私見ですが、馬が合うといいますが、ものの本によると馬に乗る人と馬との調子が合う、と書いてありますがそれならば「馬に合う」と言わなければ変です。
大工道具の中に三角の土台を2つ並べてその上に板を乗せて鉋で削ることを見かけますが、その時の足になっている三角の土台を大工用語で「馬」というそうです。
この二つの台がうまく合わなければ板は並行にならず、鉋をかけるには不便です。
二台の「馬が合う」になってこそ調子が良く行くのではないでしょうか。
用語は庶民が育てるもの。
庶民は滅多に馬には乗れませんので、大工用語から「馬が合う」が出たのでは?と私は一人で勝手(笑)に解釈しています。
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