「正田醤油・キッコーショウ」
所在地:群馬県みなかみ町須川宿
醤油と一口に言っても日本ではかなりの種類があります。溜まり、濃口(こいくち)、淡口(うすくち)、再仕込み(さしみ醤油・甘露醤油)、白醤油(原料は小麦)、減塩うす塩醤油、(厚生労働省の特別用途食品に指定されている)、昆布醤油・だし醤油(うまみを加味した液体調味料)、魚醤などなど。メーカーは九州のほうからだと有名なところではニビシ、フンドーキン、直源、ヤマシン、サンビシ、イチビキ、ヒガシマル醤油、関東圏ではキッコーマン、ヤマサ、ヒゲタ、正田醤油、東北ではワダカン、マルシチ、ヤマキュウなどがあります。醤油文化は地域性が強いのでキッコーマンを除いて土地の人は自分の地域の醤油を使っている人が多いそうです。
海外にも醤油文化はあって、韓国ではカンジャン、インドネシアやマレーシアではケチャップマニス・ケチャップアシン。タイでは一般的に魚醤であるナンプラーが有名ですが、大豆を原料にしたシーユというものもあります。日系人の多いハワイでは大豆の風味の薄いさらっとした塩味のアロハ醤油があります。創業は1946年日系人が創業者だそうです。アメリカでは一般的に醤油は「ソイ・ソース」と呼ばれていますが、ハワイでは正真正銘「ショーユ」と呼ばれています。噂によるとハワイのマクドナルドには醤油が置いてあるそうですよ。
海外旅行をするときに醤油瓶を忍ばせる方も多いと思いますが、ハワイ人も結構忍ばせるタイプが多いそうです。脚本家の内舘牧子さんは『きょうもいい塩梅』という著書の中で、休暇でパリに二ヶ月滞在した時に高熱が出て下がらず、醤油で治った体験を書かれています。高熱でふらつき、立つ力もないのに体が醤油を欲しがっている!おろしそば+そばつゆ醤油を体中で欲しがっていることに突き動かされて、動けない体のはずなのに服を着て化粧をして街に出て食べたそうです。そして不思議なことにその夜から熱が下がり始めた、と。民族として体に受け継がれているものがあるのでしょうね。
私は小さい頃、父だけが生卵かけごはんが食べられる、という家庭のしつけの中で育ちました。子ども心に父は偉いものであるという(当時日本全体は、そういう文化が当たり前でした)意味からも卵は父親だけ。子どもは父親がそっと分けてくれる1スプーンにも満たない卵ごはんを自分の麦ごはんの上に乗せて、醤油で味をのばして(笑)、卵かけごはん!と嬉しかった記憶があります。温かいご飯に甘い醤油の香りが今でも鼻腔を漂います。
さて、看板は群馬県みなかみ町の須川宿にかかっていたものです。亀甲のマークなのでキッコーマンかと思いましたが、正田醤油でした。しかもキッコーショウというどうともとれる曖昧なネーミングにも惹かれて見とれました。正田姓と地域性から見て美智子皇后を思いましたが、帰宅して調べたら、やはり美智子皇后の実家の本家筋でした。
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