Japan Geographic

看板考 柚原君子


「愛知トマト株式会社」 

看板所在地:栃木県矢板市 2010年10月撮影

オムライスやナポリタンは子育て時期のありがたい定番メニューです。

外食をした際にオムライスの上に乗っていたグリンピースの数が写真より少ないと、大泣きをした甥っ子の姿を鮮やかにかけられていたケチャップとともに思い出します。

ナポリタンは蛸の形にしたウインナとともにたっぷりのケチャップを絡めて炒めます。

大皿に盛って部活帰りの息子の空き腹を幾度満たしたことでしょうか。

洋食に縁の薄かった日本人の食卓にトマトケチャップが定着したのはオムライスとナポリタンの普及によることが大きいと言われています。

看板は栃木県矢板市で発見。朽ち倒れそうな店舗の日よけテントの上にしがみついている看板でした。

現在のカゴメ株式会社は、コーポレートマークとして英文字表記のKAGOME(Aは中の横線が省かれている)を使っていますが、昭和24年から38年までの間は、この看板の「愛知トマト株式会社」が社名でした。

ですからこの看板は64年前か少なくとも50年前までに掲げられたものと思われます。

看板にある商標は三角形を二つ組み合わせて六角形にした六芒星に丸のマークです。

これ以前は創業者の蟹江一太郎氏が陸軍退役時に農業をやるなら洋野菜をやりなさいとアドバイスを受けてトマト作りを始めた(1899年名古屋農業試験場よりトマトの種子を譲り受けて栽培開始。数年後豊作でトマトがだぶついた時に国産トマトソースの製造に踏み切る。1903年トマトソースの製造成功。1909年にトマトケチャップ製造)という、その恩を忘れないために陸軍の象徴である五芒星を商標にしようとしたのですが認められず、それならばなるべく近いものを、と三角形を二つ組み合わせて籠を編んだ時の目に見せて、ということで認められたようです。

企業は世界と戦わなければなりませんので英文字表記のKAGOMEも必要ですが、その大元の日本名が「籠の目」であるということをせめてナポリタンを食べる人たちには知っていてもらいたいと思います。

「決して市場を破壊するような安売りはしない」という社の伝統があるそうです。

安売り合戦は消費者にとってはありがたいことかもしれませんが、経費などは削るわけにはいかないので結局材料を落としているのか、という胡散臭さが消費者の気持の中に芽生えます。

良いものを自信を持って質を落とさず、安売りなどせずに企業は売って欲しい。正しい消費者はそう思います。

 


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