「カウンター婆ァー 女猫」
所在地:大宮宿の街道筋(大宮駅〜宮原に向かう左側)
埼玉県の大宮宿を歩いて楽しんでいたら見つけた看板です。女猫(めねこ)というなんともまあ妖しい看板。手練手管にたけた色香のある初老婆の、くだけていながら知識の深いそんな女性がカウンターの向こうに居るような気がします。
メニューはマタタビ酒オンリーです。つまみは魚のみです。ロックに入れる氷はぺティで削り出した肉球カット。女猫の聞こえる周波数はお客の3倍だから(人間は2万Hz、猫は6万Hz)、カウンターに座ったら内緒話はできませんよ。聞こえてしまって女猫の耳がピーンと立ったら強気を表しています。要注意です。
自分が上質の良いお客と思われているかどうかの判断は、カウンター越しに女猫の尻尾をちょっとのぞいてみると解ります。ピーンと立っていたら好感度!おまけに舌をしまい忘れているようにペロッと出していたら、かなり気を許している証拠ですよから、脈ありと見ます。通い続けたら何とかなるかもしれません。女猫は気まぐれで自分勝手であることを良く認識しておく必要も……あるにはありますが。
覗き込んだ尻尾がもしも刷毛のようにとんでもなく膨らんでいたとしたら、女猫が微笑んでいても要警戒ですよ。猫パンチが連打で飛んでくるのも覚悟で、どうして怒らせてしまったのか思い返してみましょう。河岸を変えた方が無難かもしれません。
女猫のご機嫌を取ろうとグレープフルーツやピクルスやラッキョウや正露丸など持って行くことは控えた方がいいですね。女猫は刺激臭が大嫌いのはずですからね。
甘いものもねぇ、ダメですよ。甘いものを感知する味蕾がありませんから、宮内庁御用達もので食べてくれるとしても、何か違う味を感じて食べているのにすぎませんから、貰ったこと共々すぐに忘れてしまいます。もったいない!
女猫へのプレゼントにお奨めは夏でしたらひんやり感が抜群の洗面台(笑)がいいでしょう。運んでみてください。大喜びだと思います。お歳暮シーズンなら空き箱で十分です(笑)。高い所がお好きなのでノッポな本箱とか、郊外に出たついでならマタタビの木の枝を一折などがいいでしょうか。
カウンターに座って女猫との話題が尽きたら、小さなものをソロソロと動かすと女猫の目が輝くと思います。小指でもチョンチョンとグラスの陰から出すと女猫がおもわずあなたの手を握ってくれるかもしれません。
……なんて、看板を写真に収めた後にそんなことを妄想しながら歩いていたら大宮宿の終わりJR「宮原」の駅に到着してしまいました。
ちなみに「女猫」という日活ロマンポルノがありました。私は女性ですので見たことはありませんが、映画館のポスターは覚えています。今から30年位前の作品で山城信吾さん監督、早乙女愛さん主演でした。早乙女愛さんはロサンゼルスで既に死亡されていますし、そのあとの「女猫」主演の可愛かずみさんも既に黄泉の世界です。妖しい「女猫」経営者の年代が何となく想像できた看板でした。
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