Japan Geographic

看板考 柚原君子


「老人車」

埼玉県鴻巣市内でみつけた看板類です。

内閣府の発表によると2014年10月の統計で日本の高齢化率が24.1%に上昇しているとのこと。

その内訳は総人口1億2,752万人のうち65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,079万人(前年2,975万人)。

「前期高齢者」にあたる65〜74歳は1,560万人、総人口に占める割合は12.2%。

「後期高齢者」にあたる75歳以上の人口は1,519万人、総人口に占める割合は11.9%となっているそうです。

もちろん女性のほうが数が多いです。

さらに今後も高齢化率は上昇し続けて、平成72(2060)年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上となると予想されています。

戦争が終わり帰還した青年が次々と結婚をして、子どもたちが次々と誕生して「団塊の世代」と呼ばれる固まりとなりました。

その人々がこれまた揃って老人の世代に入って来たので、高齢化社会というよりもズバリ高齢社会になっているのですね。

産まれた時は「ベビーブーム」と呼ばれましたので、巷で老人が溢れる「老人ブーム」というのは自然な成り行きかと思いますが。

看板は埼玉県鴻巣市内で見つけたもの。

店舗はかなり古い家屋です。

売っているのは老人車が目立ちますが、屋号は「伊田ベビー」の様ですので、ベビーブーム到来頃に開店されたのでしょうね。

昔はベビーカーが並んでいたであろう場所に、今は「老人車」が並んでいる。

時代をよく表しているなぁ、としばし眺めました。

私も団塊の世代ですが、産まれてこの方たくさんの競争に次ぐ競争、切磋琢磨の場面ばかりで、働くことは大好きで、むしろがむしゃらに人生を進んできたのは、この団塊世代ではなかったかと思います。

長年の切磋琢磨で打たれ強くもあるので、いまさら4人に一人の老人と言われてお荷物扱いにされようと、気にしない面々ではあると思いますが(笑)、ともかく、老人は大切にいたしましょう。

しかし、「老人車」とは面白いネーミングです。

各メーカーのシルバーカーというくくりの注釈にはちゃんと「老人車」と掲載されていますので、立派に通用している言葉なのでしょうね。

荷物を入れたり、散歩の途中で腰かけたりできる便利な「老人車」ですが、歩行を補助する車ではないので気を付けましょう。

余談ですが、筒井康隆氏が2011年TV番組で「老人車」のことを「グランカ」というようにと、提唱されたようですが、広まらなかったようですね。

 


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