Japan Geographic

看板考 柚原君子


「金太郎玩具店」 

所在地:栃木県矢板市

しばらく立ち止まって見入った看板。見入ることを計算に入れている看板かと思ったくらいです。

店舗1階の案内の『ミニカ』。上の単語は四文字分あるので『ー』を入れて『ミニカー』と余裕でできるのに、あえてミニカ?う〜ん、三菱ミニカは結構な人気なので、三菱ミニカばかり山ほどある玩具店ですか……。

看板下方の赤枠の中は花火の宣伝。花火師まで雇ってありそうな大々的な宣伝看板。煙火部とあるので金太郎玩具店の中にいろいろな部門があってそのうちの一つの花火部門ということかしら。

それに、一番下の、玩具花火卸いたしますって、ナカグロ点の「・」が挿入されていないので玩具と花火は通して読むもので玩具花火って、一般家庭で夏の夜に親しむ線香花火の類と理解したほうがいいてことカシラ?

看板の前に立ち止まること20分。お店は閉まっていましたが、なんだかレトロな感じでした。

ネットが便利な時代になりました。帰宅して調べてみると、掘り出し物のおもちゃがある玩具店とありました。地元ではなかなかの人気店のようで、ネットで調べて遠くから買いに来るお客さんも多いとのこと。花火のことはどこにも出ていなくって看板の下の赤い部分は謎のままに終了。ちょっとおもしろかったのは、支店があるようですが、ナビに載っていないので地図を持ってくるようにと注釈が出ていました(笑)。

なかなかおもちゃを買ってもらえない境遇で過ごした子ども時代でした。唯一買ってもらったのはマヨネーズの看板のようなキューピーさん。脱がせたり着せたりしているうちに一張羅のお洋服はすぐに破れてしまいました。裸ではいやだと言ったら、明治生まれのおばあちゃんがくれたのは渋い布ばかり。

それらを体に巻き付けて、若年寄りのようなキューピーさんと遊んだほろ苦い思い出があります。

 


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