「軍配印 軍配肥料」
所在地:山形県南陽市赤湯駅前
肥料の看板がたくさんそろっていて、思わず「おお~!」と声を上げてしまいました。
中でも「軍配」の印の看板に興味をひかれました。
「軍配印 軍配肥料」は1915(大正4)年創業の日本の総合化学品会社であるデンカ株式会社(旧社名電気化学工業株式会社)で販売された商品で、社内におけるセメント・化学肥料の部門で使用されている商標が「軍配印」とのこと。
デンカ株式会社のHP の商標説明には
『軍配には天下太平・五穀豊穣を祈る意味があり、相撲の勝ち名乗りを上げるときにも使用される大変縁起の良いものです。戦前に肥料を主製品とした当社では、農家に親しみやすいように軍配を商標にしました』、とあります。
軍配はもともと軍の指揮を執る人が持つもので、軍の配置や軍隊の指揮を行う「大将」の意味で使用されるものです。戦国時代に陣中で武士たちが相撲を取りその勝敗を武将たちが軍配で示したという記録もあるようです。
江戸時代になると勧進相撲がはじまり、その勝敗決定には軍配が用いられます。相撲はもともと神事でもありますから、「天下太平・五穀豊穣・子孫繁栄・大魚祈願」などと軍配に記して、その年の稲の実りや魚の好漁不漁などを二者のどちらかが勝つことによって占うという相撲を行う神社も多かったといいます。
農家に親しみやすいための商標です、との商標説明ですが、それだけではなく、これだけ多くの会社の肥料の看板があるということは、競合の激しい市場であり、そこで“大将”になるという企業としての決意、加えて、デンカ株式会社の創業時は第一次世界大戦に突入していくという時代背景がありますから、そこにも“勝つ”という機運の願いが込められていたような……深読みかと思いながらも、綺麗に並んだ肥料の看板を改めてながめました。
一つの看板から見えてくるものが余りにも多くて、ため息や納得の連続。やはり看板観察趣味は捨てきれない。
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