Japan Geographic

看板考 柚原君子


 

「新型コロナウィルス蔓延防止の為各種イベント中止」 

所在地:東京都板橋区の町会掲示板(2020.03.11撮影)

これまでに無い経験でしかも世界的な『第三次世界大戦』とも取れる様相を呈してきたと思える『新型コロナ』。地球上には何十年かに一度は未知のウィルスが局地的に出現して、人間はあたふたとしてきた。それは森林の奥地に足を踏み入れ、地中を深く堀り、病原菌をもつ動物と生活圏を交わらせたあげくのことで、人間が多く地球上で暮らすようになれば仕方の無いことかもしれないが、それにしても、中国武漢から始まった(とされる)このウィルスは四ヶ月も経たないうちに、人の移動の速さに沿って世界に逡巡して人々を震撼させている。

初期は微熱の風邪症状で3,4日で熱も下がり、軽い風邪かと人混みや職場に出る。ここで終わる人もいるがこの時点で他人に移していることには変わらない。
免疫力の落ちている人や病気のある人、あるいはまだ未解明だが何らかの理由を併せ持つ人々が再び発熱して高熱となる。喉は針を飲み込むような痛さが続き、咳は昼夜絶え間なく肋骨が折れるほどのこともある。そしてウィルスはすぐに肺に入りあっという間に増殖して初期の微熱の風邪症状からわずか2週間あまりで罹患者は命を落とす。ウィルスが勝つ。
アビガンなど試される薬は出始めてきたが、打つ手がないから進行を止められない。だからあっという間に命を落とす。正しく恐れなければいけないのに、私だけはかからない、と思っている人が多く、新型コロナよりもそれが怖い。
これまでに経験のない出来事で、世界はそれなりの国の事情の方法で打つ手を出して国を維持してきているが、医療崩壊の国もあり、日本の戦いは今月に始まったばかりの気がする。命を落とすかもしれないのに医療関係者の方々には頭が下がる。だからこそ、同じ日本国民仲間として、医療者の命をうばわないように一人一人が用心をしつつ、これから先の何ヶ月間かをみんなで余り文句を言わずに我慢しなければいけない。

未曾有の出来事で国や自治体のリーダーが間違いなく完璧に指示を出して、日本国を前に進めるということは無理かもしれないし、何億円も掛けて配るマスクの話し、もらえる人が選別される30万円、会社は閉めないのに閉まる保育園……言ってみたいことはいろいろあるけれども、それでも体を壊すくらい動いてくれていると信じたい。
国民一人一人が国や行政への注文は山ほどあるだろうけれども、それを今一つ一つ羅列して行くことよりも、経路不明の罹患者がますます増えている昨日今日、人々は正しく恐れて各自が身を守ることが何よりも先決だと思う。
私たちはただ、正しく恐れて国が出す用心以上に用心をして、治療薬やワクチンができるまで身を守るしかない、ということを東京の人全部に知って欲しい。

法律に基づく緊急事態制限が出たが、一般庶民にとって罰金罰則のない、逮捕されるわけでもない法的効力のないお願いは、乱暴な言葉で言わせてもらえれば、危機管理のない人には屁のかっぱに近い。町にパトカーを出して、なるべく自宅に籠もるようにホントウは呼びかけて欲しいと思っている。

 


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