「Y.K.K」
所在地:長野県塩尻市洗馬
中山道の洗馬宿を歩いているときに崩れそうな民家の壁の下方にみつけた「Y.K.K」の看板。「Y.K.K」はSUNTORYの創業者の鳥居氏が社名にTORYと入れているように「Y.K.K」のYが創業者である吉田忠夫氏の頭文字です。
「Y.K.K」と銘打ってあれば安全なファスナー、壊れることのないジッパーということで、世界の一流品。ハンドメイド作家(←私のこと!!・笑)にとっても欠かせないYKKの刻印です。
ファスナーの起源は、1891年に米国人のホイットコム・ジャドソン氏が、当時流行していた長いブーツの靴ヒモを結ぶのが不便な事から、その解決のために何度もの申請特許を繰り返してファスナーを作る機械共々、製品化されたというものです。
世界シェア50%を誇る日本の「Y.K.K」は、1934(昭和9)年、東京市日本橋区蛎殻町に吉田忠夫氏によってサンエス商会として設立されています。当時はサンエスということでSを三つ配してその中央にYを入れたものが商標でしたが、その後にY.K.Kに。
創業者は戦後にアメリカよりファスナーを作る機械を四台購入して、その機械を国内で作って100台に増やしてファスナーを作ったとあります。創業者が亡くなってから看板の色がブルー系に変化したそうですから、この黄色と赤の看板はレトロの部類に入るようです。
一般名詞であるファスナーは「しっかり止める物」という意味で、大義では工業用のボルト、ネジ、ナット、釘、スナップピンなどもその様に呼称されます。
洋服や鞄などに多く使われているファスナーは『線状ファスナー』。務歯(むし)と呼ばれる歯をテープ状の紐の上に並べた物です。あまり知られていませんが、町の小間物屋さんなどに行くと、今でも必要な㎝にあわせてファスナーの端の留め具を外して切って作ってくれる場合も有ります。
線状ファスナーは時にはジッパー、チャックと呼ばれたりもします。
ジーンズの場合“ジッパー”と呼んだりしますが、ジーンズの”ジ”ではなく、ファスナーを閉める時の「シューッ」という擬音の「Zip」から来ています。
また、おしゃべり禁止の合図で”口にチャック!“のチャックとは巾着のことで、尾道のある会社がファスナーを「チャック印」として販売したところ評判になり、「チャック」という名称も定着することになります。
チャックと言えば、男性のズボンの前のチャックが空いていると、「社会の窓が開いている」と言いました。どうしてそこを社会の窓というかについては、1948(昭和23)年のNHKのラジオ番組『インフォメーションアワー・社会の窓』からきているそうで、社会のさまざまな問題の裏側を探るという番組の主旨の、「普段見られない部分が見える」という意味と共通したので使われたそうです。
この番組が放送された頃に生まれた私は12年経って中学1年生になっていて、何でも興味津々の大人への入口の時期にいましたので、体操教師のスゥエットパンツの社会の窓の辺りにモコモコしている出っ張りが気になって仕方ありませんでした。体操の時間に、どうやらジーと観察している視線を先生も察知したらしく、「同じところばかり見ない!」と注意を受けて私はうなだれます。
それ以後、私たち女子生徒の間で”モコモコ“とあだ名を付けられたことを秋山先生はご存じないだろうと思いますが、ご存命ならば80代半ば……お元気でいてくださればうれしいなと思います。
えっ、モコモコ話を書きたくて「Y.K.K」の看板を選んだのですか?と言われれば、まあ、そんなところ……かな?(笑)。お付き合いありがとうございます。<(_
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