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栃木県日光市 旧大名ホテル(日光市役所日光総合支所)

Nikko Kyu Daimyo hotel (Nikko city office)
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June 2008 柴田由紀江

旧大名ホテル(日光市役所日光総合支所)
日光市中鉢石町999番地
着工:明治38年(1905年)
竣工:大正8年(1919年)
設計者:不詳(小林庄一郎本人の設計という説もあり)
国・登録有形文化財
近代化産業遺産

古美術骨董商として財をなした小林庄一郎氏が、日光を訪れる外国人観光客用のリゾート施設「大名ホテル」として建設した帝冠様式の木造4階建てのこの建物は、15年の歳月と35万円という建築費を費やしてようやく完成した。
建材に米松を用いた和洋折衷の入母屋造りの堂々とした貫禄を持ち、日光御用邸が開かれた大正時代には国内外の要人の交歓・社交の場として発展した日光において、金谷ホテルに次ぐ大規模な施設となった筈だが、ホテルとして営業されたという記録が残っていないため詳細が不明である。
昭和18年には日光精銅所(古河電工)に売却され職員アパートとして使用された時期もあるが、戦後は進駐軍の接収に遭い、昭和27年には古河電工を通じて日光町に寄付され、現在は市役所の出張所として使用されている。

入母屋破風の龍飾りなど堂々とした外観を眺めつつ一歩中へ入ると、単なる昭和レトロな町役場的な雰囲気になるが、細部を観察すればなるほどこれが明治~大正へ15年かけて建築された物なのかと頷ける。
天井に回り縁などの見切り材がなく、漆喰がアーチを描いている。後付けの建材とのミスマッチが残念であるが、玄関ホールから2階への階段横の彫刻が雲型であったり、親柱にフルーティングが施されていたり、それでいて階段の幅は明らかに西洋的な迫力を持つ。廃屋だった期間がなかったのか漆喰に傷みが少ないのも喜ばしいことだ。

愛知県庁や東京国立博物館本館など帝冠様式の大御所は他に存在するが、世界遺産のある日光の少し入った場所に、明治時代の帝冠様式が今も取り壊されずに存在しているというだけでも貴重だと思う。撮影日が雨天だったため外観写真が思うように寄れず残念だったが、2階の窓から見える苔生した裏山が雨に濡れて美しかった。

                    

 


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