栃木県日光市 湯西川温泉
Yunishikawa
Onsen,Nikko City,Tochigi
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Sep.2018 柴田由紀江
湯西川温泉
本家伴久 平家伝承かずら橋の宿
所在:栃木県日光市湯西川749
1666年創業のこの老舗旅館は現在25代目を継承されています。
玄関の引き戸が開き履いていた靴を預け館内用の草履に履き替えると、「いらせられませ」と迎え太鼓を5つ叩いて歓迎されました。江戸初期の創業以来のおもてなしなのだそうです。
建物は幾度か建て直しと改築・増築の跡が見受けられました。廊下はあちこちに段差があり、二本の丸太に沿わせて作られた階段はまちまちの厚みと傾きで、手摺りなしには登り降りが難しい造りです。バリアフリーのホテルに慣れた現代人にとっては新鮮な感覚だと思います。
川に面したロビーでは数々の古い家具調度品、五百年の年輪を刻む柱を鑑賞し、天井を見上げれば立派な梁から本家伴久と書かれた提灯が吊るされ、その下には江戸時代に一刀彫で作られた魚の自在鉤の下がる囲炉裏を囲む憩いの空間が用意されていました。
その真上にあたる吹き抜けを取り囲む二階には大きな本棚に千冊以上もの書籍が並びソファや机のある読書スペースが設けられ、連泊でも退屈せずにゆっくり過ごせるよう配慮されていると感じました。
私が宿泊したのは”水車(みずぐるま)”という名前のお部屋で、壁のあちこちに水車を思わせる意匠が施され、室内なのに藁葺き屋根の庇が付いていました。ほんの15センチほどの小上がりには小さな鏡台が置かれ、窓の外から川のせせらぎが聞こえてきました。
しかしその情緒溢れる雰囲気を壊さぬように、天井には梁の色に塗られたエアコンが完備され、トイレや洗面台などは新しく清潔でした。
浴場もとても綺麗で新しく、アメニティも充実しており、ヘアドライヤーも複数の種類が用意されているのも女性には嬉しい配慮だと思います。
カフェで好みのカップを選びセルフサービスでコーヒーを頂いていると、宿の中ほどから葛の絡まる橋が伸びているのが眺められます。
平成6年に完成したという「かずら橋」は、その昔平家の一門が敵方から逃れるため山峡に橋を架け渡り、敵の気配がしたら斧で橋を切り落として逃れたという橋を模して造られています。渡れば揺れますが、編まれた葛の中には頑丈なワイヤーが仕込まれていて安全です。
その橋を渡った先にあるのが”平家隠れ館”という名前の夕食処です。橋の手前からでは樹々に遮られて建物の全体像を眺めることが出来ず、ミステリアスな存在でした。朱に塗られた手摺りを頼りに石段を登ると、予想外に大きな囲炉裏テーブルの並ぶ館が建っていました。個室も在るようで、正に隠れ家的な空間です。
頂いた会席料理は一品一品が手の込んだもので、食材の素の味を活かした優しい味付けがされており健康的です。チェックインの際に串焼きの肉を鶏・牛・鹿から選び、私は牛串を選びました。しゃぶしゃぶ鍋の野菜や炉端焼きのとうもろこしには予め火が通っており、川魚の刺身も新鮮で臭みがなく、アルコール類の種類も豊富で、デザートも甘すぎず、大満足な夕食でした。
翌朝の朝食は本館のこじんまりとした食堂で、和食のビュッフェスタイルでした。
旅館に泊まったことがない私は、チェックアウトまで靴を預けて館内は草履、屋外は下駄で歩くという初めての経験が楽しかったです。今回の滞在は、近々来日するアメリカからの親戚を連れて行くための下見でしたが、私自身も初めてのことが多く新鮮でした。またクレジットカードが使えて館内は高速wifi完備で、そうした現代的な要件をすべて満たした上でこの古めかしい館の雰囲気を維持しているという点で、きっと外国人観光客にも喜んで貰えるだろうと思いました。
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