JAPAN GEOGRAPHIC

東京都八王子市 椚田遺跡

Kunugidaiseki,Hachioji city,Tokyo

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May 2,2017 瀧山幸伸 source movie

東京都をほぼ西から東へ貫流する多摩川の右岸には、関東山地から派生した多摩丘陵が約40キロに亘って海岸部にまでのびているが、北部の山地よりには広い平坦面を呈す丘陵が幾つか発達している。八王子盆地の南を囲む小比企丘陵もその一つで、本遺跡はその支脈上に所在する。

 昭和50年、発掘調査が実施され、遺跡の全面に3枚の生活面が確認された。最上位面は古墳時代の集落であり、中位面は繩文時代中期末葉、最下位面は繩文時代中期中葉に属する集落である。古墳時代の遺構は竪穴住居跡の数や遺物の発見量も少なく、小規模なものと考えられるが、繩文時代中期の集落跡は本遺跡の中心的な内容をもつ重要なものとして注目される。

 発掘調査範囲は遺跡の約6分の1に相当するが、繩文時代中期中葉の竪穴住居跡45が発見されており、全体では270以上の存在が予想されるところである。それらの住居跡は径約150メートルの環状に展開する典型的な集落形態を示すものであり、環状の内側には多数の土壙群が構築されている。このように内側に土壙群をもつ集落跡は極めて例が少なく、内側が空地の広場をなす一般の集落跡に対して、より広範な地域圏内における中心的な性格を帯びた集落とも考えられ、当時の集落相互の関係ひいては繩文時代の社会を解明する上で重要である。なお、中期末葉の柄鏡形敷石住居跡3及び配石遺構、埋甕などが集落の下限を示し、中期中葉以来長期に亘って集落が営まれたものであることがわかる。さらに、この間に製作使用された土器・石器類は種類も多く膨大な量に上っており、学術的価値の高いものである。(文化財データベース)

                  

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