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和歌山県由良町
Yura town,Wakayama

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Feb.3,2019 瀧山幸伸  source movie

門前の大岩
Monzen no Oiwa

天然記念物

和歌山県日高郡由良町門前にある国の天然記念物に指定された岩の露頭である。
中生代ジュラ紀に属する砂岩、および鳥巣層と呼ばれる石灰岩の中に、ウニの一種であるシダリス(英語版)の棘の化石が多数含まれていることから、1935年(昭和10年)12月24日に国の天然記念物に指定された。
門前の大岩の所在地は紀伊水道に面した和歌山県中西部の日高郡由良町の門前地区である。門前という地名は当地に所在する臨済宗妙心寺派寺院興国寺の門前に位置することから名づけられており、付近一帯はJR紀勢本線と国道42号線が並走する紀伊半島の交通の要所である。周辺の山腹はミカン栽培が盛んであり、門前の大岩もミカン畑が点在する標高約100メートル付近の急斜面に位置している。
天然記念物に指定された露頭は藪に囲まれており、麓の門前地区から徒歩による藪漕ぎでしか訪れることができない。岩の大きさは高さ約18メートル、幅は東西約22メートル、南北約18メートル。2012年(平成24年)に和歌山県が作成した『和歌山県レッドデータブック』によれば、門前の大岩は中紀層群由良層の泥岩優勢層に挟まれたジュラ紀の鳥巣式石灰岩で、ウニの一種であるシダリス(英語版)の棘の化石だけでなく、サンゴや層孔虫の化石も多く含まれているという。
シダリスとは中生代に熱帯の海に住んでいたウニの一種で、門前の大岩の岩中には長さ2cmほどのシダリスの棘の化石が見られる。シダリスの化石は日本国内で数ヶ所しか確認されていない貴重なもので、ジュラ紀の鳥の巣層群の地質時代を決定する標準化石としても知られている。
シダリスの化石はウメの実の核に、形も大きさもよく似ているため、地元の人々からは「梅干し」と呼ばれており、かつては門前の大岩の表面にその化石が浮き彫りのように現れていたが、今日では目に付きにくくなってしまったという。
(wikipedia)

白悪紀ノ鳥巣層ニ屬スル石灰岩ニシテ該層ノ示凖化石タルシダリス(海膽類)ノ棘ノ化石(方言梅干)ヲ夥シク藏スルヲ以テ知ラル本岩ノ如ク夛數ノシダリス化石ヲ有スルハ本邦中他ニ見ザルトコロナリ
(文化財データベース)



和歌山の文化財のうち、天然記念物で唯一訪問できていないのがここだった。事前の机上調査では現地がどうなっているのかよくわからない。ネットにある数少ない情報も頼りにならないので、近くを通ってもいつも素通りしてしまっていた。
今回は時間があったので、ダメでもともととの気持ちで思い切って現地調査を行うこととしたのだが、とんでもない顛末となってしまった。

現地調査での歩行ルート。往復30分で済むところ、下記の理由で2時間以上かかった。
白崎海岸とともに貴重なジオサイトで、教育的価値も高く、由良町による整備が望まれる。



事前調査

文化庁、由良町、和歌山県の情報はほぼ無いに等しく、まるで参考にならない。Wikipediaの情報は上記の通りで、現地の緯度経度など測位情報もない。最も信頼できると思われるのは国土地理院の1/25000地図での位置マークだが、地理院地図でも文化財の所在地については何度も痛い目に遭っているのでたやすく信じるわけにもいかない。
Googleのマップには大岩の位置の記入が無く、航空写真を重ねても皆目見当がつかなかった。
ネットには「昔は遠足で行った」との情報もあったので、とにかく現地の人に聞けば誰か知っているだろう、くらいの軽い気持ちで午後遅く現地に着いたのだが。
かなり信ぴょう性のあるブログには、「興国寺側(西側)から尾根に登って、尾根から少し下った所、ただしこれは失敗で、正解は国道側(南側)の麓村の地蔵から登ること」と書いてあったので、とにかく麓村(門前集落)に行こうと思った。


現地調査

麓の門前集落で、最初にお目にかかった老紳士に道順を伺うと、「確かに子供の頃行ったことがあるけれど、自分は何十年も行っていないし、他に行った人を知らない。絶対やめたほうがいいですよ」とおっしゃる。
「今回は決意して東京から来たからそれでも行きたいんですけど」と食い下がると、渋々ご近所のお宅へ案内してくださった。
そのお宅の中年紳士は、所蔵されているシダリスの化石を見せてくださり、「こんな化石はここらへんあちこちにあった。現地は裏山のため池の上だけど、誰も行かないし、悪いことは言わないからやめたほうがいいよ」と同じことをおっしゃる。
シダリスの化石
    
そして、納屋から大きな鉄製のバネ式ワナを持って来てみせてくださった。「これ、タヌキなんかだと一発で足がもげるんだよね。人だったら足がもげることはないけど」と、淡々とおっしゃる。「イノシシが多いからワナがそこらじゅうたくさん仕掛けられているよ。自分は最近忙しくて仕掛けてないけど、仕掛けた場所はその人しかわからないし。今はイノシシの旬で、肉がおいしいんだよね」と、恐怖映画か劇画のセリフのようにおっしゃる。「諦めて帰ったほうが身のためだよ。そのかわりジュース用の落果した八朔を一個お土産であげるから」とおっしゃる。
最後に「どうしても行きたい場合、何を目印にしたらいいですか」と伺うと、「Googleマップがいいよ。自分の家も出てるし」ということだったので、日暮れも近づいたのでやむを得ず退却となった。
この時に大きな失敗をした。彼にGoogleマップを見てもらって現地の場所を確認しておくべきだった。

その晩は近くの広川町の公営滝原温泉に宿泊したが、どうにも気分が晴れず、あれこれ考えてよく眠れなかった。
翌朝、やはりどうしても現地を調査したい気持ちが抑えられず、意を決して危険を承知の上、自己責任で現地を訪問することにした。
例の大きな失敗とは、Googleマップに門前の大岩の場所が表示されていないことだった。航空写真を重ねてもそれらしき岩は見当たらない。地理院地図での現地は中腹のミカン畑で、wikiの言う「藪漕ぎ」とか、ブログで紹介されていた「尾根からちょっと下ったところ」という情報とは異なっている。航空写真でミカン畑の裏山から尾根に至る藪漕ぎらしき地域を調べると、「なにやら白い露頭のようなもの」が見える。
おそらく地理院地図の位置情報が間違っているのだろうと思い、とりあえず麓の村の細道をたどり、小さな地蔵の祠を入り、すぐ右の細い山道を登って行った。

国道から見た現地付近の山。右側の小高い丘部分が現地。
  
国道から細い道を入ると石碑。由良守応生誕地とある。
 
その道を奥に進むと国道と並行して走る細い道に出る。右に進むとすぐに地蔵がある。
      
地蔵横の小道を左に、そして5mほど先をすぐに右に折れ、山を登る。眼下に街並と線路を望み展望が良い。
    
その道を登ると平坦な地点に出る。左にはイノシシ除けの電気柵の下方にため池が見える。道は正面やや右に緩い下りで、谷を巻いている。

谷付近に至ると、左上側に白い岩が見える。

実はこれが門前の大岩現地だったのだが、wikiの言う「岩の大きさは高さ約18メートル、幅は東西約22メートル、南北約18メートル。」としては小さすぎる点と、航空写真のさらに尾根近くにあった「なにやら白い露頭のようなもの」が現地ではないかという思い込みがあり、さらに尾根へ登っていくことにしたのだ。
ミカン畑のモノレールを伝ってショートカットし、再度道に出てさらに上へ、ミカン畑の最上部、新しく設置された高い電柵まで到達した。
   
尾根のすぐ近くの、航空写真で見える白い露頭らしきものという思い込みのせいで、完全に正常心を失っていた。電柵の扉を開けて広葉樹林に入り、尾根伝いに山の頂部を目指すことになった。
すぐ近くにイノシシの檻や古い電柵が放置されている。
  
尾根に向かう道はなく、まさしく藪漕ぎで、どこにワナが仕掛けられているかわからず、一歩一歩怯えながら登った。
    
厳しい坂を登りきると平坦な部分に出る。ここに航空写真に見える「白い部分」があったのだが、実はそれはイノシシの泥浴び場だったのだ。
    
Googleマップで現在地を確認すると、地理院地図に表示されている大岩付近から北側に500m、標高200mの地点まで来てしまっていた。
その先は山頂(標高273.9m)まで再び登りが始まり、荒れた歩道のようになっている。

地理院地図でもスマホを使えば現在地を知ることができるようだが、試してみると2Kmほど離れたとんでもない場所に移動する。おいおい国土地理院、Googleに負けてるよ、と呆れてしまう。 
ひょっとして、ブログの言う「尾根のすぐ下」に隠れているのかもと思い、そこから急な坂を東南東に下って行ったが、小さい岩はあるものの、それらしい大岩は無く、ミカン畑の境となっている電柵に沿うように西に進み、元の扉まで戻った。これがかなり険しい崖地で、あれこれもがいて進むうちに枯れ枝で首筋を負傷してしまった。
       
再び電柵の内側、ミカン畑側に出て尾根状の道を少しだけ南西に進んだ。言われてみれば、ここがブログの言う「尾根」かもしれない。であれば、大岩の現地は地理院地図が正しく、そうだとすると最初に出会った小さい岩かもしれないと思い始めた。
  
がしかし、電柵の外に出ようにも扉が見当たらない。やむなくモノレールを転がるように谷を下り、再び例の白い岩に到達した。岩はミカン畑から10mほどしか離れておらず、これのどこが藪漕ぎなのか。やはりwikipediaの情報は信用ならない。
           

門前の大岩現地

現地は地理院地図の位置通りだった。小さいと思っていた岩は東側の半分で、西側に同じような大きさの岩が続いていた。天然記念物の標柱もある。
だが、シダリスらしき化石は見られるものの、確証は得られなかった。詳しく調査すれば昨日の化石のようにまとまってあるのかもしれないが、昨夕見せていただいた化石の写真があるから良しとした。
                              
帰路は10分もかからなかった。素直に行けば往復30分もかからない簡単な行程だが、都合2時間以上かかってしまった。地理の専門家としては実に恥ずかしく情けないフィールド調査だった。 


水越峠からの日没
        
Feb.24,2018 瀧山幸伸


Edited Movie Download YouTube
source movie

白崎海岸
Shirasaki Coast

ここの地質は2億年ほど前フズリナで形成された石灰岩。
石灰岩特有の浸食地形(カルスト地形)は日本各地で見られるが、秋吉台平尾台四国カルストに散在する洞穴と地形(特別天然記念物/天然記念物)が有名。
海岸付近で見られる石灰岩独特の浸食地形は、ここと高知県の伊尾木洞(天然記念物)がベスト。
残念ながらここは人の手が入りカルスト地形が一部壊されているが、海岸に面した石灰岩としてその白さは日本有数であり、海の青さに映え、エーゲ海のような印象を受ける。

                                                                                                                                                                                                      
 


由良港
    


July 2012 瀧山幸伸 source movie


白崎海岸
Shirasaki
                      

                                                          

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