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金沢 前田家加賀百万石の城下町 
Kanazawa, castle town of tycoon Maeda family.

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General
文化と伝統
Nature
兼六園
Water
 
Flower
 
Culture
工芸など伝統文化が豊富。武家町、茶屋町の街並が往時を偲ばせる。伝統を未来に活かすまち
Facility
 
Food
伝統料理の質が高くバラエティ豊か

街に文化があり、物語が豊富で、本、テレビ、映画などのメディアに登場する街は元気だ。
人々の心の中に思い出として生きているから、初めて訪れても昔来たことがあるようなデジャブの感覚に襲われる。そしてまた来たくなる。
そもそも人はなぜ旅に出るのだろうか。旅には経済合理性は無いが、毎週末旅に出る人間もいるし、古来放浪の旅を続ける人間も多い。
「新規探索傾向」遺伝子が左右するドーパミンのなせる業だろうが、旅に出ると開放感を感じるタイプと、緊張感を感じるタイプは、日本人では2対8で、欧米人とは逆だそうだ。

金沢は、多くの人に安らぎを与えるのではなかろうか。京都のように人が多すぎず、広すぎず、金沢城の周囲は小高い丘で展望が良く、兼六園もカワセミやサギの姿を見ることができ落ち着く。
川や用水路が流れ、古い町屋も健在で、東茶屋町主計町長町、西茶屋町などの武家街花街に風情が残る。

数々の文学や映画、ドラマに取り上げられ、情緒豊かだ。風情ある城下町だからカップルで訪れてほしい。訪問するごとに文化の奥行きが深く感じられる。
そして何よりも、人々の人情、ホスピタリティが素晴らしい。

新井白石が、前田家に仕えていた室鳩巣へ宛てた手紙の中で「加州は天下の書府なり」と賞賛しているように、加賀百万石の栄華を誇った金沢は前田綱紀のもとで学問が隆盛し、今でも文化豊かな街だ。
石川県伝統産業工芸館に代表される伝統工芸の遺産のみで生きている街ではない。
旧第四高等中学校と伝統工芸の技術者を活かした最先端の科学研究も盛んで、街に活気がある。
金銀箔の全国シェアがほぼ100%ということからも、伝統技術がハイテクに通じることが推察される。
これらのバックグラウンドがあるからこそ、旧金澤陸軍兵器支廠や師団長宿舎が壊されることなく博物館、美術館として有効利用されるのだろうし、妹島和世らの手による金沢21世紀美術館も違和感なく受け入れられるのだろう。
余談だが、妹島の建築に関心がある方はぜひ飯田の旧小笠原家と資料館を訪問して、彼女の原点を確かめてほしい。

金沢は15世紀の一向一揆により富樫政親が倒れ、約百年間本願寺の直轄領となり、百姓の自治領のような状態だった。
その後、前田利家により金沢の基盤が作られた。
犀川、浅野川を天然の外堀りとし、それと背後の山に囲まれた丘陵地に城下町が形成され、今なお当時の町割りや用水路が残る。
五代藩主前田綱紀の時代に絢爛豪華な加賀文化が花開くこととなるが、金沢の繁栄基盤は農業のみではない。
例えば合掌造りの里五箇山で加賀藩が独占的に製造した煙硝(火薬の材料)や九谷焼などの工芸品に負うところが大きい。
藩の時代の文化財建築としては、尾山神社尾崎神社も訪問に値する。

最近、近江町市場を改装したが、市場が活況を呈している街は概して元気のある街だ。この市場が続く限り金沢の食文化は健在だろう。
金沢ではバスなどを使わず全て徒歩で探訪しよう。ガイドブックに載っていないことの発見と景観の変化を楽しみながら。
移動の費用相当額は、まちを発見し、住民と触れ合い、健康に良い機会をいただき、環境にも貢献できたお礼に寄付したいものだ。この街のさらなるホスピタリティ向上に資するよう。

金沢と並ぶ古都高山では、交通が便利になったことと引き換えに古都の雰囲気が失われつつある。
高山にはお気の毒だが、金沢はトップクラスの良い街だ。
人に人格があるように、街にも人格がある。住民と訪問者の美意識が相調和し、街並に似合わない「蛍光色のイベントジャンパー」や「疾風怒涛の団体行動」など、街の品格を乱すことが自制されることを願う。









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