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滋賀県 高島市 ソラノネ
Soranone,Takashima city,Shiga

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August 12,2017 大野木康夫

ソラノネ食堂

所在地 滋賀県高島市安曇川町田中4942-1

人気の農園食堂
連休で行くのに渋滞1時間半、着いてからの待ち時間9組で1時間半でした。
天気が良く、風があったので、木陰にシートを敷いて寝転んで待つのは気持ちがよかったです。

                                           


Nov.2008 瀧山幸伸 HD video Video FAQ

「ライフスタイルツーリズム」のあり方

隠れたまほろば

琵琶湖の西岸、高島市の泰山寺野と呼ばれる高台にソラノネが誕生した。
安曇川駅からは3km以上もあり、途中の誘導看板もなく、道を間違えたかと不安になる頃、開拓地風の質素な集落にたどり着く。周囲は一面の畑。華やいだ施設は何もない。
なぜこのような不便な所でビジネスを始めるのだろうかと疑問に思うかもしれないが、ここには他では得られない魅力がある。
近くには大小四十数基の古墳が散在する王塚田中古墳群があり、その中の最大のものは王塚と呼ばれ、安曇陵墓参考地として宮内庁の所管となっている。
継体天皇の父である「彦主人王」(ひこうしおう)が被葬者とされる。
同じく泰山寺野には、信長と浅井・朝倉・高島衆との攻防の舞台となった田中城があった。
滋賀県有数の規模の墳墓としてここが選ばれたり、重要な拠点として城が構えられた理由は現地に立つと理解できる。
泰山寺野は三方を崖に囲まれ、背後は比良山系に守られた天然の要害と言える。古墳や城のある崖端部からは、ゆったりと琵琶湖に注ぐ安曇川の姿と広大な琵琶湖、さらにその先に鈴鹿山地を望むことができる。
太陽も月もそこから昇る。それが琵琶湖の水面に反射しきらきらと輝く。特に満月がゆらゆら昇る光景は天国にいるかのように素晴らしい。
そして、一面に朝霧がたちこめる夜明け。朝日を浴びて急に霧が晴れ、鳥たちのさえずりが始まる。背後には近江八景で称賛された「比良暮雪」の比良山地が顔を出す。
この地こそ日本人が好きな箱庭型景観概念のプロトタイプにふさわしいのではなかろうか。

ライフスタイルリゾート

立地の潜在的魅力は良いとして、現実の目線でソラノネのレゾンデートルを考えてみたい。
目先のマーケティングを考えれば、この地でのビジネスは相乗効果が気になる。大津郊外に立地し、同じ系列のブルーベリーフィールズ紀伊国屋の近所か、例えば茅葺の里として人々に知られている京都府南丹市の美山の近くで事業を展開するほうが相乗効果がありそうだと思われるのだが、ちょっと違う。
ブルーベリーフィールズ紀伊国屋から望む琵琶湖も素晴らしいが、その周囲には農家も畑もなく、この地とは農業のダイナミズムが違う。
美山はマスコミへの過剰露出の結果か、会津の大内宿のように団体バスでやってくる周遊型の短時間訪問者が主体であり、いわゆる1時間滞在のライブテーマパークでとても騒々しく、これも違う。もちろん村内の茅葺民宿に泊まれば静かな夜が体験できそうだが。
ソラノネのようにたっぷり時間を使いかまどでコメを炊くなどの体験型の取り組みは、スローフード、地産地消、農業体験ツアー、グリーンツーリズム、エコツーリズム、ヘルスツーリズムなど、表現する言葉は近いが、どれも核心をついていない。
おそらく、「ライフスタイルツーリズム、ライフスタイルリゾート」という言葉がふさわしいのではなかろうか。
ソラノネは、都会でのストレス型ライフスタイルを変える、行動心理学で言うところの「行動変容」を促すための場であると理解する。
だから、近所に店も何もなく、ゆったりとしたライフスタイルを楽しめ、既存イメージに汚されていないデスティネーション型の場所としてここを選んだのではなかろうか。
誘導看板を設置しないのも、目的の違う立ち寄り客を呼び込まないためなのだろう。
ライフスタイル変容のためのリゾートは、アメリカ東海岸のキャニオンランチなどが有名だが、一泊千ドル、最低三泊という高コストなものだし、不健康な食生活、飲酒、喫煙、運動不足など、高額所得者のための予防医療に特化したライフスタイル変容を目的とした施設であり、裕福な潜在的メタボリック症候群が主な顧客である。
一方、日本では究極のライフスタイル変容の場として、禅寺修行や断食道場などがあるが、断食の後リバウンスしてしまったという笑い話も多く聞く。
ソラノネはこれらとは哲学が違う、日本の風土と現代人のライフスタイルに似合ったライフスタイルリゾートと言えるが、課題はたくさんある。今後どのような方向に進めば良いのだろうか。
このような施設を利用する目的志向型の人々はリピート志向でもある。
例えば若者カップルが最初に訪問する。その彼らがファミリーを作り、子連れで再訪する。家族そろって農作業や収穫、とれたての食材を使った料理を通じて村人や自然と共存する喜びを知る。さらにその子供たちが大きくなり、自分たちの原体験を次の世代に伝えるために再訪する。このような、世代をつなぐライフスタイルのポジティブフィードバックの場となるのではなかろうか。
10年単位の時の流れが必要だろうが、そのうち利用者の要望が徐々に高まり、宿泊型のライフスタイルリゾートに自然に発展していくのではないか。四季を通じて美しい夕景や夜明けを楽しめるようになれば素晴らしい。そのためにも発足当初のライフスタイル志向を忘れないでほしい。
ソラノネはたまたま関西の日帰り圏だから恵まれているかもしれないが、このように目的が明確なライフスタイルリゾートであれば、交通不便な場所であっても、その土地でしか体験できない自然や社会の魅力を活かしたまちおこしが可能なのではなかろうか。パイロットプロジェクトとして期待される存在だ。


            

   
          


          

        

              

         



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