兵庫県芦屋市 旧山邑家住宅(ヨドコウ迎賓館)
Kyu Yamamurake(Yodoko guest house) ,Ashiya City,Hyogo
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芦屋市山手町173 旧山邑家住宅(淀川製鋼迎賓館)(兵庫県芦屋市山手町) 重文 近代/住居 大正 大正13(1924) 鉄筋コンクリート造、建築面積359.1㎡、四階建、陸屋根 19740521
November 13,2021 大野木康夫
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旧山邑家住宅(淀川製鋼迎賓館)
所在地 兵庫県芦屋市山手町173
【国指定文化財等データベースから引用】
傾斜地を利用して段状に建てた鉄筋コンクリート造、四階建の住宅で、フランク・ロイド・ライトの原設計になる。
高低ある平面、独特の意匠などライトの作風をよく表わしており、日本近代建築史の上で重要な作品である。
芦屋市の人孔鉄蓋
夙川沿いから旧山邑家住宅を遠望
周囲から撮影
駐車場から撮影
土日祝は公開日
アプローチ
エントランス
内部
2階応接室
3階へ
3階西側廊下
3階和室
3回家族寝室
4階へ
4階食堂
バルコニー
勝手口付近
撮影日: 2010年7月19日
阪急芦屋川駅からのアプローチ、1階車寄せ、玄関
2階応接室と給湯室
3階和室、廊下、小間使室など
4階食堂と厨房
4階と3階のバルコニー
ヨドコウ迎賓館(旧山邑太左衛門別邸)
国指定重要文化財
兵庫県芦屋市山手町3-10
竣工:大正13年(1924年)
設計:フランク・ロイド・ライト
監修:遠藤新
施工:女良工務店
構造:大谷石、RC地上4階建て
この建物は”櫻正宗”の銘柄で知られる灘の酒造家・八代目 山邑太左衛門の別邸として大正13年に建てられました。
道路から坂道を登ると、アイボリー色の洋館が姿を現しました。
傾斜のある地形にすっぽりと埋まり込んだようなこの豪邸は、玄関部分が何階に位置するのか、一見しただけでは分かりませんでした。
しかしこの建物は個人邸とは思えない程のゆとりある広さの屋根付きのエントリーから始まり、まるでホテルのように奥まった部分に、やや小さめの玄関が作られていました。
客人を車寄せでお待たせすることも考慮されているのか、大谷石の柔らかな質感に囲まれた屋外カフェにでも出来そうな素敵なアプローチでした。
小さな玄関を入り、柔らかな照明に照らされた廊下を曲がると2階の応接室に向かう階段になります。
装飾の施された大谷石の暖炉や柱、そしてクリーム色の壁を引き締めるように配色された焦げ茶色のマホガニーのドア、そこにも青銅色に染まる板状の飾りが取り付けられていました。
応接室の椅子やテーブルの形状もさることながら、天井からすぐ下の部分に規則正しく並んだ木製の小窓がとても愛らしく印象的です。
住まわれる方の快適さや心のゆとりを、単なる通風口にさえこれだけの思い入れを込めてデザインするライト氏の拘りに感動させられます。
3階は当時の洋館によく使われた上げ下げ式とは異なる、網戸のはめられた外開きの窓が続く、奥行きの長い廊下が印象的でした。
この窓に飾られた銅板は植物の葉をモチーフにしたような意匠で、建物内の至る所にコンセプトイメージとなって存在しています。
そして展開される3つの和室は、まさに日本建築とライト装飾の融合とも言うべき存在です。
建て主のオーダーに沿う形で当初計画に無かったという和室を作ることになったそうですが、通気窓や銅板飾りを配した欄間が特に印象的です。
弟子である遠藤新が監修を務めたそうですが、他の建造物においても和室をインチで引くライト氏の図面の尺をうまく調整していたのは遠藤氏と言われていますので、ここでも彼の活躍があったことは間違いないでしょう。
和室の奥に進むと、家族の寝室や小間使室、子供部屋などがあります。
現在はヨドコウ迎賓館の解説VTRが流れる休憩室や、グッズコーナーとして利用されています。
他の階の応接空間とは雰囲気が異なり、小さめに区切った部屋の配置などが日本的ですが、廊下や天井、扉や作りつけの家具などの一つ一つにライト氏の意匠が息づいていました。
また、自由学園明日館や旧帝国ホテルにも残されている大谷石の暖炉が、ここにも存在していました。
3階と4階からは広いバルコニーに出ることが出来ます。高台から見下ろす景色は高層の建造物が無いので、快晴であったら今でも素晴らしい眺望が楽しめるでしょう。
長方形のバルコニーは大型船の甲板のようで、そこから振り返る旧山邑邸も威厳あふれる姿です。
最後は4階の食堂です。これぞライト氏と言える天井の装飾、大谷石の暖炉を中心にシンメトリーの厳格なデザインによって空間全体が構成されています。
どういう構造になっているのか、木製の装飾品や照明器具の上部には三角形の溝のような小窓が開けられています。現在は換気口として使用することは出来ないそうですが、時間帯によっては自然光も入って来るのだと思います。
直線と、斜線と、それらの重なりと連続性が生きているライト氏の美しい細工に触れ、大変幸せなひと時を過ごしました。
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