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京都府京都市 左京区/北区 北山 
(Kitayama, Sakyoku/Kitaku, Kyoto city,Kyoto)

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Aug.27,2016 中山辰夫

北山中川―北山杉の里
京都府京都市北区中川

京都市内から周山街道(国道62号線)の山間部を一時間ほど走る。高雄からは車で約10分の距離にある。約紅葉のシーズンの美景は超有名である。
京都北山に広がる北山杉の里には、杉の美林が続く山々の中に、「中川」「杉阪」「真弓」「小野」「大森」という5つの集落が点在する。
磨き丸太の歴史は古く、応永年間(1394〜1428)頃から生産が始まったといわれ、茶の湯の興隆とともに数寄屋建築に不可欠な床柱材料としてもてはやされた。
年輪が緻密、真円なめらかで玉のような木肌の軟らかさが大きな魅力。

5つの集落の一つ「中川集落は」は古くから磨き丸太で知られる北山杉生産の中心地である。
 
水が豊かで冷涼な、スギを育てるのに適した土地で、今も杉の枝打ち職人や丸太製造の商いが多い集落である。この日の気温は街中より数度低い24度。
中川の集落は、川端康成の小説「古都」の舞台として名をなした。(川端康成のノーベル文学賞の授賞対象作ともいわれ、1963年映画化された。
  

清滝川に沿って開かれた集落。川に沿って周山街道が集落の中央を走る。中川の集落名はここから付けられた。
村の戸数・人口は1877(明治10)年で、106戸、545人とあり山間の集落としては多いで、現在も大きく変わらないときく。林業が生活の基盤である。
産物は、杉・松円材・薪があげられるが、特に杉については「北山丸太と称す、木理極めて美」と京都府地誌にもある。昔はマツタケも大産地であった。

切り立った山際にあって雨量も多く、特に冬の日照時間が少ない。北山杉は北山しぐれで育つともいわれる冬名物の北山しぐれが川沿いに吹きつける。
厳しい環境の中で培ったノウハウが「台杉」で、北山杉に命を懸ける人たちの長年かけての智恵と努力の結晶で生まれた産物で、未来に引継がれる魂である。

今回は高尾方面から中川集落に入り、中川八幡神社までの散策であった。

集落は、見事な鉾杉が清流の両側の急峻な斜面にその頂上まで林立する。民家は川の両側に沿って約1km続く。
  
林業一本で、畑や水田はほぼ皆無である。街路の左右に民家が建ち並び集落を形成している。民家は山の麓や、石垣を組んで階段状に山上に延びている。
街路沿いの平地にはその家の長子が住み、次男・三男は山を切り拓いて家を建てた。こじんまりした家並みの中に、全盛時期を彷彿させる大邸宅も見られる。

進行方向−左の山手側(西側)の景色
最初に目に入るのが「北山銘木協同組合」の施設である。これについては、後ほど再登場する。
    

           
中学校や役所などの公的機関が川沿いに集中している。山には杉の他にアカマツも多くある。現在、マッタケは取れない。

進行方向−右の山側(東側)の景観
協同組合の施設の対面辺りから山へ入る。
            

民家は道路沿いに並ぶが、その奥には山の傾斜地を造成して建てた民家がある。細い路地と石垣が目立つ。
    

中川集落最古の「北山形」古民家―上田家住宅。
    

終点の中川八幡宮に近づくと街路沿いに大きな邸宅が見られる。
        

その他もろもろ
    

重要なスポット

台杉
北山杉には、「台杉仕立て」と一代限りの「皆伐方式」の2通りで造林が行われている。
昔は台杉方式で生産されていたが、戦後の住宅ブームで生産が追い付かず、皆伐方式に切替わり、その生産も丹波地方まで広がった。
 
一代限りの皆伐方式とは、一般の杉樹と同様に一樹一幹で育て25〜40年生ぐらいで一斉に伐倒する方法。
台杉仕立は一株から数十本の樹幹を萌生させる方法。森林の狭さを補い、急峻な山で効率よく生産するため編み出された恒続的な造林方法といわれる。
樹齢400〜500年の北山杉台杉 まだまだ健在である
      

台杉候補
   
2〜3か月ごとに直立する枝で素性のいいものを2〜3本「立ち木」に育てる。不要な枝葉をカットし整えて行く。これを100〜200年にわたって繰り返し、磨き丸太を生産する。子育てに似た作業を進めることになる。最近は観賞用に使用されるケースが多い。

宗蓮寺 浄土宗 1573年(室町時代)に創建された。 境内に咲く「秋明菊」が有名な花の寺 
               

中川天満宮
         

シロスギ
   
台杉仕立てができるスギが選ばれる。真っ直ぐに伸び、しっかり育ち続けてくれる遺伝子を持った木が台杉用には必要。それが、「シロスギ」。
中川八幡宮にある母樹は、500年を超えても樹形が崩れず、真っ直ぐに伸びている。
この木から挿し木で増やしたシロスギの子孫たちが、台杉の風景をつくっている。この技術と遺伝子が北山林業の基本である。

今回の散策はここで終了です
 

「北山銘木協同組合」の施設で受けた説明をまとめる

施設
      

北山杉作業の工程の道具類
 

穂積と挿し穂
5月初め頃、選び抜いた優れた品種の親木から穂摘みした、長さ30cm位の穂木を苗床に挿木する。

山に植林
挿し穂の2年後、発根の良い苗を山に植林する。時期は3月が適期。

下草刈り
植林後6〜7年間は、毎年6〜8月頃に植林地の下草刈りを行う。

枝打ち
良質の北山丸太をつくるための特に重要な作業。最初の枝打ちは植林後6〜7年後に行い、その後一般的には4年毎に枝打ちを繰り返す。
枝打ちは、成長期の4〜7月以外の期間に、はしごを杉の幹に架けて枝まで登り、鋭利に砥いだ鎌か鉈(なた)を使用して行う。
出来るだけ枝の付け根を幹に沿って打ち落とし、打ち跡が幹より出ていないことが重要。
  

絞巻き(人造丸太のみ)
主に床柱に使用する人造丸太をつくるため、生育中の幹にプラスチック製の箸状の当て木を針金等で巻き付け、2〜3年の太りを利用して当て木を食い込ませ、木肌に凸凹の絞り模様をつける。
     

枝締め
伐採する前の年の冬(11〜3月頃)、枝を適度に打ち落として太りを抑える。これで木肌が引き締まり、表面の干割れを抑え、また色艶、光沢を良くする効果が得られる。
 

伐採・搬出
伐採は9〜11月にかけて行い、伐採後約1ヶ月そのままにして葉枯らし乾燥を行う。その後、玉伐りして搬出する。
   

粗皮剥ぎ・背割り
搬出された丸太は樹皮を剥き、表面の干割れを防ぐために、一方を芯まで丸ノコで切れ目(背割り)を入れる。剥ぎ取りはヘラで行うが、最近は水圧で行う。
       
サンプルの垂木は約25年もの

小むき
次いで荒川を向いた後に残っている薄皮を綺麗に除く

天日乾燥
      
背割りを入れた丸太は、天日にさらして乾燥を行う。表面の色が白くなったら室内に取り込み、風の通るところでゆっくりと、天候条件により1〜3週間ほど乾燥させる。 施設では二階をテラスにして乾燥スペースを確保していた。

人工(機械)乾燥
天日乾燥の後、機械による人工乾燥を行う
 

磨き作業
昔この地を訪れた高僧が、「この地にある菩提の滝壺の砂はここだけの物だ」。この砂で丸太を磨き商売をすればこの地は栄える」といって去った話が残る。
  
乾燥させた北山丸太の表面を、さらに光沢を引き出すために、たわし状のもので磨く。この作業は従来、「菩提の滝」で採取した砂を使って女性たちが磨いていた。しかし近年は水圧やたわし状のもので磨くことが主流となっている。サンプルの垂木は25年もの
     

北山丸太完成
植林から約30年、丹精込めて育てられた北山杉は、非常になめらかな表面をした独特の艶と光沢のある磨き丸太となる。

木材倉庫
     

北山丸太の製品

北山磨丸太
 
北山丸太の基本製品。材質が緻密で節がなく木肌はなめらかで光沢があり、また通直で真円に近く元末の差が少ないのが特徴。

北山天然出絞丸太
 
木肌に自然にコブ状・波状の凹凸(絞り)ができたもので、品種や地質、日当たりによって様々な表情が見られる。主に床柱として使用されている。

北山ちりめん絞丸太
 
天然絞丸太の一種。出絞はコブ状・波状に突出しているのに対し、この品種は溝のような絞りが特徴で、非常に希少な品種。

北山人造絞丸太
 
木肌に波状に出る天然絞りを人工的につけた商品。伐採の2〜3年前に箸状の材料を幹に巻き付け絞り模様をつけたもの。床柱として一般的に使用される。

北山タルキ(小丸太)
 
北山丸太の垂木(タルキ)用材。無地が特徴で元末の差があまりなく、茶室や数寄屋住宅に利用される。最近では手すりやルーバーなどの装飾用としても使用。

北山面皮柱
 
磨丸太を手斧(ちょうな)などで製材し、丸太の木肌を残しながら木目の美しさを引き出したも。

洛北
北山丸太の新しい用途として腰板・壁板用に開発された製品。木肌と木目の両方に美しさを持ち、公共施設から店舗、住宅など幅広く用いられている。

「お断り」
「北山銘木協同組合」の施設・・以下の画像と説明は「北山丸太協同組合HP」を引用させて頂きました。



July 2012 中山辰夫

京都トレイル 

今回の京都トレイルは北山・貴船口から源光庵まで。
 

京都駅から出町柳経由で、叡山電車で貴船口に行く。ここがスタ〜トとなる。
電車と貴船口駅
  

鞍馬川と貴船川が合流する地が貴船口。貴船川に沿って北上すると丹波国へと続く。
 
貴船川の水の音が心地よく聞こえる。
    

貴船口から貴船神社へ向かう2.5kmの道は 、丹波路とも呼ばれ、風雅な料亭や茶屋が軒を連ねる。
貴船川に設けられる川床は、京の夏の風物詩ともなっている、
左奥の鳥居をくぐると、朱塗りの灯籠が並ぶ、貴船神社の石段が続く。
  

平安時代、貴船神社には多くの貴族が恋の成就を祈り、参詣した。其の一人が平安中期の女流歌人
和泉式部で、夫の心代わりを知って深く嘆き、夫の愛を取り戻せるように貴船神社に祈願すると
ほどなく成就したという。蛍岩で歌を詠んだとされる。
 

貴船口をスタートする。夜泣峠を目指す。
 
すぐに貴船神社の大きな鳥居に出合う。梶取社
    

鞍馬街道を歩く
    

鞍馬川に沿って東海自然歩道を進む
    

叡山電鉄の踏切の上に守谷神社と富士神社がある。
ジグザグに付けられた静かな峠道は、30分ほどで標識「No.50」の夜泣峠に着きます。
    

夜泣峠
    

向山から山幸橋をめざす
 

標高420mの向山の山頂。枯れた松葉の積もった頂で気持ちがいい。
南の一角だけが開けて京都の街並が見える。
    

更に進むと展望が開ける。
    

北山杉が林立するこの辺りは散策路。緩い快適な尾根路で、せせらぎの音を耳にしながら気持良く歩く。
    

鞍馬川の勢い
    

関西電量洛北発電所と山幸橋
    
時が時だけに規模の大小に関係なく、水力発電所には感謝する思い。

氷室を目指す
 

途中に出合った、天を突くスギの巨木。幹の表面状態に驚く。
    

標識No56を過ぎてすすむと牧草場に出ます。ネットでカバーされています。結構な広さでした。
     

垂直にのびる北山杉
      

盗人谷位置の婆橋、二の橋、三の橋と沢を渡る。
    

氷室の入口にあたる小峠で休憩 もうすぐ集落です。
    

氷室の集落
里は静かで、ホッ〜とする感じ。
       

氷室
 
氷室跡
畦道を西に向かい、害獣進入防止フェンスを潜り抜けた右側の高みに氷室跡がある。三ケ所の窪地は草に覆われ見えない。
    
“笹ゆり”が一本、其の場所を教えるように可憐に咲いていた。
    

氷室神社

    
江戸時代の氷室神社 都名所会図
  

境内
   

拝殿
京都府指定文化財
古びた鳥居越しの参道奥に見える拝殿は、東福門院の寄進によるもの。
唐破風と千鳥破風をもつ珍しい様式。
    
蟇股の彫刻が素晴しい
    

本殿
 

「源光庵」目指して進む
 
舗装した道の方が足にはツライ
    

京見峠 ポッカリ視界が開けた。京都タワーを探して方向を確認する。
    

千束の集落に入り、紙屋川沿いに歩く。途中の町並
       

千束で出合った三対の地蔵仏 「愛宕大権現」の石碑が立つ。
 

鷹峯観光MAP
 

つらかった坂道、古くより光悦、千束の両集落を結ぶ坂道である。 急坂21度
   

長阪道入口
坂を登りきった右側にある。
 
京の七口の一つである長坂口(ながさかぐち)から丹波国、若狭国へ続く、かつての鯖街道の入口にあたる。
1780年(安永9年)に刊行された『都名所図会』(みやこめいしょずえ)では、街道を往来する人物が複数描かれ、その半数が
荷物を担いでいる様子が窺え、鷹峯地域が物資輸送上、重要であったことを示唆している。

鷹ケ峯と鷹峯街道
    

源光庵へ到着した頃は、源光庵や光悦寺の開門時間を過ぎていた。
源光庵前からバスに乗り帰った。

次回の京都トレイルのスタート地点は「源光庵」である。

≪参考≫ 鷹ケ峰地区
古来、現在の鷹峯およびその周辺地域一帯は「栗栖野」(くるすの)と呼ばれていた。
平安時代には、代々の天皇が都に程近いこの栗酢の栖野に行幸し、遊猟、鷹狩に興じていたという。
豊臣秀吉が外的の侵入に備えて、御土居を構築した。当時の、当地の治安は追いはぎや辻斬りで荒れていた。
江戸時代の元和元年(1615)に、辺土への居住を希望していた本阿弥光悦が、徳川家康より御土居以北の土地
約8.9万坪の原野を拝領して、一族縁者を引き連れて澄んだ。これによって鷹峯の地に集落「光悦村」が形成
され、光悦屋敷を中心として街路に面した家々が立ち並び、光悦を慕う芸術家や豪商も移り住んで、京都の芸術
文化の一大拠点となった。

その後、本阿弥家が土地を幕府に返上してこの地を離れたことにより賑わいが衰え、光悦寺、妙秀寺、常照寺と
いった法華経寺院の存在で、宗教色の濃い集落になっていった。

源光庵
山門、本堂の悟りの窓、庭園 紅葉の時期が格別である。
    

光悦寺
紅葉の時期が賑わう。光悦垣と庭園
    

参考資料≪京都一周トレイルコース公式ガイドマップ、その他≫


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