奈良県桜井市 談山神社
Tanzanjinja,Sakurai city,Nara
August 23, 2020 野崎順次 source movie
奈良県桜井市
談山神社の石造物
① 国重文 談山神社摩尼輪塔 鎌倉時代後期 高315cm 花崗岩
談山神社の旧参道の途中に立っている。八角柱の塔身を地中に生けこんだ形になる。その正面上方に宝珠形の大月輪を厚く彫出する意匠は、実に秀抜である。月輪面には五点具足の胎蔵界大日の種子をあらわす。刷毛書の雄渾な梵字で、薬研彫の効果も十分である。方形の笠は大きい気宇を示し、鎌倉後期様式の軒反りが美しい。頂上に露盤を作り出し、その上に伏鉢・請花宝珠を飾り、見事なおさまりを見せる。多角柱であるから石憧のようであるが、石瞳のように八面を使わず、仏を正面だけに奉
安しているので笠塔婆に分類する。塔身正面に達筆の字で「妙覚究竟摩尼輪、乾元二年(1303)癸卯五月日立之」と刻む。妙覚究竟摩尼輪は仏果の終局の位をあらわす。
(川勝政太郎「新装版日本石造美術辞典、1998」より)
② 国重文 談山神社石燈籠 鎌倉時代後期 元徳三年(1331)、花崗岩、高さ 255cm
後醍醐天皇ご寄進と伝えられる。
六角形の燈籠で、請花・宝珠は後補。中台側面二区に格狭間を刻む。竿は、中節の四方に蓮華文を刻出、上部に元徳三年の銘がある。火袋は一面が火口、一面が円窓、残る四面は蓮華座月輪上に四天王の種子を刻む。基礎上端は複弁の反花で、竿の受座は蓮実式、側面は二区に分け夫々に格狭間を作る
(河合哲雄「石仏と石塔!」ウェブサイトより
③ 談山神社弥勒石仏 鎌倉時代中期 高150cm 花崗岩
談山神社境内を通り抜けて西門に行きつくと、門内の土手の上にこの石仏が見える。複弁反花座と、その上の複弁蓮座、光背形から厚肉彫する石仏のすべてを、一石で彫成している。右手をあげて与願印、左手を伏せて膝の上にのべる降魔印と見られるので、伝承のように弥勒像としてよい。衣文の表現も、顔の作りもおおらかで、鎌倉時代中期の様式をよく示している。像の両脇の光背面に各一行の刻字があり、「文永三年(1266)八月八日奉造立、大勧進正延、大工藤井口口」と読まれる。石大工の名が読めないが、大和の石大工に藤井を称する一派のあったことは確かである。しかし詳しいことはまだわかっていない。
(川勝政太郎「新装版日本石造美術辞典、1998」より)
西大門跡あたり
④ 淡海公十三重塔
藤原鎌足公二男不比等(淡海公)を祭る十三重の石塔で基壇より九輪の頂まで約4.0m、
台石の高さ0.9m。台石に永仁六年(1298)大工井行元の刻名があります。
(現地説明板より)
裏に回ると破損部が目立ち、あるいは後補が多くあったのか、文化財指定が無理だったのかなと思った。不比等の墓所ともいわれているそうだ。
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