MONTHLY WEB MAGAZINE Dec.2010
■■■ 瀧山幸伸
1. 紅葉と桜は日本の文化的景観
西行ではないが、桜の季節と紅葉の季節は落ち着かない。
文化財建築を撮影に行っても、桜や紅葉が絵の主体になって、寺社が背景になってしまう。
桜や紅葉の明るさと寺社の暗さの差があまりに激しいため、二者両立しないから辛い。
文化財の建築には申し訳ないが、この季節は桜と紅葉が主役と割り切ったほうが良いのだろう。
藤原定家の別荘といわれる厭離庵 を訪ねたが、なるほど和歌にふさわしい紅葉だった。
日本の文化に桜と紅葉は深く関わる。もちろん、マツ、竹、ウメ、アヤメ、ボタン、ハギ、キクなど、花札に登場する植物は皆我々の心に密着している。
桜や紅葉は、天然記念物や名勝の分野で文化財に指定されているが、文化的景観としての認知度はまだ低い。
「文化的景観」とは、文化庁は、「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」と定めているが、産業関連の景観がほとんどだ。
http://www.bunka.go.jp/bunkazai/shoukai/keikan.html
我々の心を揺さぶる桜や紅葉を文化的景観としてきちんと位置づけていくことが必要と思われる。
2. 修験の霊地
この秋は行場を訪ねたレポートが多い。中山さんの 峰定寺、飯道神社、大野木さんの 金胎寺、私は霊山、御岩神社、布引観音。
必ずしも先達を必要としないが、マスコミやブームに惑わされず、自分の目的と体力をわきまえ敬虔な気持ちで安全に配慮して行を行ってほしい。
行を終え無事麓に到着すると、自分が生まれ変わったような気分になる。
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