MONTHLY WEB MAGAZINE Apr.2011
■ 「苦悩と試行錯誤の日々」 瀧山幸伸
今回の災害に対し、自分に、あるいはJapan Geographicに何ができるか、焦燥感に悩まされました。
今も悩み続けていますが、Japan Geographicの目的に照らし、目前のことよりも、時間と手間をかけて後世に役立つことを目指すのが良さそうだ、未来への完璧な青写真よりも、走りながら考えながら実践していく方法が良さそうだと思えてきました。
時系列を追って地震後の3週間何を行ったかを述べます。
災害が発生した翌日に、なにはともあれ災害関連特集のページを新設しました。
まず最初に、地理学を研究する者のはしくれとして、地理的な視点での地震関連情報URL集を作成しましたが、これは地震直後から1週間以内の情報混乱期に短期的な情報収集を目的とした内容なので、その時期には役に立ちましたが、今はメンテナンスしていません。
そして、マスコミ等で報道されている写真やビデオに疑問を感じ、きちんと分類整理されて後世のために保存されるべきだと、Japan Geographic流の「場所、時間、分野別」に分類整理保存するため、誰でも投稿できる掲示板を作成しました。
さらに、地震の翌週、今まで書きためていた、安心安全で持続可能な未来のまちづくり「サステナブルシティ」論を広く公共の役に立てるよう、提言として公開しました。今回の災害に際し、完成版になるまで個人で持っているよりも今の時点で公開したほうが社会のためになるだろうとの思いからです。総論で、防災、エネルギー、水や食料などに対する安全安心はまちづくりの基本だと述べていますが、3月5日に霞ヶ関と民間との合同勉強会の席で総論部分を提示した時には、理解され実現されるには時間がかかるだろうなと思っていましたが、現実の復興計画案として提言することになるとは、自分自身も状況の急展開に驚いています。
同時期に、東電の電力不足に対処する提案、 「中部電力の60Hzを一部導入する案」をUPしました。専門家にヒアリングし、ある程度技術的な検証を行っていますが、技術論よりも社会工学的なバリアのほうが大きいかもしれません。電力の歴史は戦国時代と同様です。4月に入り、この案の代案として、簡便かつ費用もかけずに有効に節電を行い停電を避ける「電力ギフトプログラム」案をUPしました。
そして今日の地震特集ウェブマガジンに至ります。時々刻々と状況は変わっていますが、「今後の百年を考え、本質的に何をなすべきか、なさざるべきか」の長期的視点でビジョンを示し、自ら実践できることを少しずつでも前に進め、一人でも多くの賛同者を募って、幸せな未来を築く一助になりたいと念じています。
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