MONTHLY WEB MAGAZINE Mar.2012
■■■■■ 雲を抜けて雪の奥日光に遊ぶ 田中康平
3月になった。春があっという間に来た。
この週末日光の町に来たついでに遅くならないうちに今年の奥日光の雪景色を見ておこうといろは坂に車を向けたが、雲が低い。
朝、高層までの大気の予測をパソコンで書き出した図ではこんな低い雲は少なくとも宇都宮には予想されていなかった。
どうみても上空にはドライなエリアが広がっているはずだ。
地形の影響で霧降からいろは坂までは雲が溜まり易い。多分戦場ヶ原は晴れているはず。梅雨時に似たパターンか、と気を取り直してのぼりにかかる。
雲の厚さはいやましに感じられて、予測が外れれば雪かと不安がよぎる。
昨日の雨は奥日光では結構な積雪になっている。更に積もると厄介だ。次第に路面を雪が覆い始める。
と 前を走るレッカー車がみえてきて程なく直ぐ先の道脇に動かなくなっているクルマの前に停まる。
どうやら次第に雪が多くなる雪道に恐れをなしてレッカーを呼んだようだ。
確かにいろは坂は一方通行だけに途中で断念するとこうするほかない。
それにしても木々の枝に雪がつき木の枝のトンネルが雪化粧して美しい。
雪道はスキーに出かけたりで何度も走ったがこれはかなりな美しさだ。
来たかいがあるというものだが停めるところがなく写真には残せない。しかしいい。
明智平を過ぎてもまだ殆ど雲の中だ、大丈夫かと不安になりながらトンネルを抜けると次第に男体山が見え始める。
中禅寺湖に出る頃には空は見事な晴天となった。思った通りだ。こんな時は気象の知恵が役に立つ。
菖蒲ヶ浜にはオオワシ、オジロワシを見ようとクルマが集まっている。朝オジロワシが出たがもう何処かへ行っている。オオワシは見ない、と教えられる。
そろそろオオワシもオジロワシも引き上げる時期だ。暫く待ってみるが現れない。かわりにいつも現れる山の上に小ぶりな鳥の姿が見える。ノスリだ。何もいないよりは随分いい。
戦場ヶ原も歩いてみる。春の光が明るくて心地いい。
暗く覆う雲の向こうに春の光が満ちている。何だか随分得したように山を下りる。今年はどんな春になるだろうか。
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