MONTHLY WEB MAGAZINE Oct. 2013

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■■■■■ 東日本大震災からの復活 川村由幸

私が良く撮影に行く、千葉・茨城の重伝建も東日本大震災ではとても大きな被害を受けました。

あれから二年半が経ち、最近千葉の重伝建 佐原と茨城の重伝建 真壁、重伝建ではありませんが

ユネスコ無形文化遺産指定の結城紬で知られ、古い町並みが美しい結城の三か所を撮影に廻りました。

茨城の県北地域と千葉の旭市を除けば、関東における東日本大震災の被害は深刻なものですが東北地域の復興と呼ぶほどではなく、復活で良いと思います。

撮影に廻った三か所の復活の具合ですが、随分と差のあるものでした。

佐原はほぼ復活を果たしています。伊能忠敬旧邸以外は尚文堂も再建がなり、時間というスパイスを除けば元に戻ったと言える状況となっています。

尚文堂と中村屋商店・中村屋乾物店の震災前、再建工事中、再建後の画像です。

<尚文堂>

<中村屋商店>

<中村屋乾物店>

2009.10 2012.09 2013.09 

真壁はとてもひどい状況です。撤去された登録文化財がいくつもあり、現在も全く修繕の手がついていない建造物が多く見かけられます。このまま朽ち果てるのを待つかのように見えます。

二年半の間、大震災の被害を受けたまま放置されているということは修繕の意思がないということなのでしょうか。

このままでは、真壁は重伝建の価値がなくなりそうです。

<市塚家住宅>

 

<土谷家土蔵>

<木村家住宅>

<潮田家住宅>

              2010.10 2013.01 2013.09

結城は10/6に訪問しました。雨上がりの朝でしたが、町中どこにいても金木犀が香り気持ちの良い撮影ができました。

ここもいくつか古い建造物が撤去されていましたが、大震災の爪痕はほとんど見られなくなっていました。

結城は大震災前の撮影画像がなく、比較しずらいですが、復活したと言って良い状況です。

<簗嶋邸>

<秋葉糀味噌醸造>

             2012.02 2013.10

なぜこのような差がでたのでしょうか。

国宝・重要文化財は修復に税金が利用できるようです。(全額ではない)

重伝建に多い登録文化財の場合、所有者負担が原則とか。

そういえば、佐原の尚文堂は人が住まなくなったようです。自治体の手で再建されたと考えるべきでしょうか。

所有者のみの力で再建となると、古い建造物なりの修復はコストも高く簡単でないことは理解できます。

東北でも真壁と同様な事態に陥っている文化財が多くあるようです。

文化財よりも被災者の衣食住が優先するのは当然でしょう。

でも、そろそろ文化財にも目を向けないと失うものが多数出てきそうです。失ってしまえば、もう元に戻りません。

日本の歴史と文化を失うことになるのです。そんな危惧をいだいた撮影でした。

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