Monthly Web Magazine July 2014

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■■■■■ 明治は遠く… 大野木康夫

俳人、中村草田男が母校である小学校(東京・青南小学校)の前を通り、「降る雪や 明治は遠く なりにけり」と詠んだのは昭和6(1931)年、明治が終わってから30年くらい経ったころでした。

この句の「遠くなりにけり」という表現は、自分自身の変化もふくめての感慨から来るものかと思いますが、明治が過ぎてから100年以上を経過した現在、実体験としてこのような感慨を持てる世代はとうにいなくなり、「明治」は遺物や著作などからしか感じることができなくなってしまいました。

その「明治」の遺物を集積したのが愛知県犬山市の博物館明治村です。

高度経済成長に伴う開発事業により失われつつあった価値ある近代建築を移築、保存しており、移転された物件は67件に達しています。

6月の土曜日、中学校1年生の夏に小学校の卒業生の団体で訪問して以来、37年ぶりに訪問し、ほんの僅かではありますが、「明治」の雰囲気を感じることができたように思います。

この手の記念物集積型の施設は、レジャーの多様化(この言葉は、施設の入場客数が低迷する状態を説明するのに大変便利な言葉です。)の影響を受けやすく、昭和40(1965)年3月の開園(私と同学年)からおよそ50年が経過した今も変わりなく営業されているのは、親会社も含め大変な努力をされているものかと思います。

訪問した土曜日には駐車場がほぼ満車になるなど、多くの人が訪れていたので、そういう意味では少し安心しました。

旧帝国ホテル中央玄関

大正の建築ですが、フランク・ロイド・ライトの基本設計にかかる貴重な近代建築として移築されました。

前回訪問時には、移築から年月も浅く、新しさで少し浮いた感じだったのですが、すっかりなじんだ感じがします。

宮津裁判所法廷、高田小熊写真館、菊の世酒蔵、内閣文庫、川崎銀行本店、大明寺聖パウロ教会堂

金沢監獄中央看守所、東京駅警備巡査派出所、前橋監獄雑居坊

聖ザビエル天主堂

京都河原町三条のカトリック河原町教会(司教座聖堂)の先代建物です。

移築前の敷地は現在京都ロイヤルホテル&スパとなっている部分も含んでいます。

呉服座(重要文化財)

大阪府池田市にあった芝居小屋です。

訪問当日は人気落語家の公演が行われており、内部を見ることはできませんでした。

本郷喜之床、小泉八雲避暑の家、工部省品川硝子製造所

旧伊勢郵便局舎(重要文化財)

伊勢市の外宮前に建築された郵便局です。

以前の緑色の塗装から、黄色の塗装に復原されたようです。

鉄道寮新橋工場、リング精紡機(重要文化財)、菊花御紋章付平削盤(重要文化財)

歩兵第六連隊兵舎、日本赤十字社中央病院病棟、第四高等学校武術道場「無声堂」

宗教大学車寄、神戸山手西洋人住居

旧菅島灯台付属官舎主屋及び倉庫(重要文化財)

三重県鳥羽市の菅島にあったものです。

旧品川燈台(重要文化財)

品川沖の第二台場の西端にあったものです。

茶室亦楽庵、西園寺公望別邸「坐漁荘」、幸田露伴住宅「蝸牛庵」

芝川又右衛門邸、長崎居留地二十五番館、北里研究所本館医学館

旧札幌電話交換局(重要文化財)

札幌の大通にあったものです。

安田銀行会津支店、千早赤阪小学校講堂、京都中井酒造、第四高等学校物理化学教室、清水医院

旧東松家住宅(重要文化財)

名古屋中心部、堀川運河沿いにあった三階建住宅です。

東山梨郡役所(重要文化財)

山梨県山梨市にあった擬洋風建築です。

旧睦沢学校校舎(重要文化財)とともに、山梨県令藤村紫朗が建てさせた「藤村式」と呼ばれる擬洋風建築群を代表するものです。

明治村の建物の中では一番好きな建物です。

旧三重県庁舎(重要文化財)

正門近くにある大規模な建物です。

10mmの広角でやっと全体が入るくらいです。

大井牛肉店、三重県尋常師範学校、近衛局本部附属舎

旧日本聖公会京都聖約翰教会堂(重要文化財)

京都河原町五条を下がった西側にあった教会です。

跡地には現在も教会堂(複合ビル)が建っています。

旧西郷従道住宅(重要文化財)

明治の元勲西郷従道の屋敷に建っていた来客用の洋館です。

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