Monthly Web Magazine Nov. 2016
■ 「国宝姉妹、好みはどちら? 円覚寺舎利殿と正福寺地蔵堂」 瀧山幸伸
いずれも日本の禅宗様式を代表する名建築だ。
禅宗様式については話が長いので割愛するが、文化の日に撮影したムービーを見比べれば一目瞭然。よく見ると異なっている点がかなりある。
教科書にも登場し、知名度抜群の円覚寺舎利殿。鎌倉にあり、多くの観光客で賑わう。
境内の修行道場の奥にあるので、門外から遠くに拝するだけだが、特定日には門内に入ることができる。
さらに進むと、舎利殿手前に門と塀があり、そこを入ると舎利殿と対面することが可能だ。
建物は前面からのみ拝観でき、左右後ろには回れない。内部の拝観も不可だ。
屋根はこけら葺きで、廃絶された尼寺から移築したものであるが、三方を山に囲まれ、自然と調和して美しい。
門塀に阻まれてベストアングルが得られないので、肝心の屋根の美しい反りは犠牲となっている。写真はカメラを頭上高く持ち上げて撮影したもので、実際にはこのアングルでは拝観できない。
一方の正福寺地蔵堂。知名度は低く、東村山市内の住宅地にぽつんと佇んでいる。
外観はいつでも拝することができる。特定日には内部の拝観も可能で、時間を限って内部の撮影も許されている。
周囲には遮るものがないので、前後左右、近くから遠くから、禅宗様式の特徴を最も体感できる地点から、朝昼夕、飽きるまで拝観できる。
築年は舎利殿よりも古く、当初からここに建つ。屋根は上層がこけら葺き、下層が瓦葺きだが、当初からの仕様かどうか定かではない。
美しさを体験するには、山門を入って石畳の少し右からの正面の写真の位置、または建物の左側方からの拝観が特に好ましい。