JAPAN GEOGRAPHIC
Monthly Web Magazine Jan. 2018
■ 五個荘での新年探し 中山辰夫
年明け早々に集まりがあって東近江市の五個荘へ行きました。ここは近江商人発祥の地として知られ、豪商の旧家が多く残っています
何か変わった正月景色に出合えるかと期待しましたが特別なものはありませんでした。正月の間、使用人は丁稚羊羹を土産に国元へ帰省するので豪商の本宅は落着いた整いだったようです。
「門松」が目に着きました。「外村繁旧宅」
この門松は、江戸時代の正月飾りを再現したもので、各商家の江戸にある「大店 おおだな」に正月飾られたものです。
江戸の店では家の繁栄を願ってその高さを競い合って飾った様で、広告塔の役目も果たしていた気がします。
勧請吊(かんじょう)と薬師堂前の飾り
お正月の間、大注連縄をつくり部落の入口や産土神の境内に飾る行事で、近江の農村にはこの慣習を存続している所が多くあります。
御幣は通常12本、うるう年は13本です。薬師堂前の飾りは、燃やしてその燃え具合でその年を占う様です。
伊勢神楽
五個荘で約200年続くとされる料理店の座敷で「伊勢神楽」をみました。
五個荘の正月、各家に伊勢から神楽の一行がやってきて、その一年の幸福を授ける舞を舞います。特に豪商宅では毎年1月11日に招いた神楽が座敷で舞を披露することが恒例になっていたようです。今も続けているのは、この料理屋さん一軒だけのようです。
450〜600年の歴史を持つとされる伊勢大神楽(国の重要無形民俗文化財)は現在、5つの家元で構成されています。12月24日に桑名市の増田神社に集合して奉納を行った後全国を廻るようです。今日の獅子舞は、5社中の筆頭である「山本源太夫家」の皆さんでした。
最後はお決まりの場面です。
最近の子どもは獅子舞に余り関心がないようですが、私どもの小さい頃は玄関先でチョビット舞う獅子を追っかけたことを思い出しました。
地域の過疎化や高齢化で神楽を受け入れ てくれる人が減ったり、芸を受け継ぐ者が不足したりと直面する課題は多いと聞きます。
伝統を背負う親方の覚悟、新人たちのとまどい、待ちわびる人々の思い…。神楽周辺には感動するドキュメントが一杯潜んでいるようです。
仕上げは「鼈 スッポン鍋」料理‐これが目的でした。
宴会に付き物のお酒、いろんな種類のお酒が持ち込まれました。その中で目新しい「19歳のお酒」を紹介します。
お酒をまだ飲んだ経験の無い?19歳のメンバー達が日本酒づくりに挑戦。20歳になった成人の日に乾杯するというプロジェクトがあります。
田植え→かかし作り→稲刈り→醸造→瓶詰め梱包→さらには出来上がった日本酒は酒店で販売まで行う企画のようです。
純米吟醸・大治郎の滋賀の酒元・畑酒造が、「2018年3月31日時点で満19歳の、関西に住む男女求む!」と募集しています。
昨年度に醸成された酒はフルーティぽいやわらかな味です。
スッポンは琵琶湖の産。このお店では試作に試作を重ねて世に出す新たな味覚です。煮こごり、肝酢、唐揚げいずれも美味い。
最後は雑炊です
新年早々から好い思いと味わいが楽しめました。スッポン料理は珍しく、一年を乗り切るパワーをとりこんだ気分です。
コラーゲンの固まりのスッポン−今回は女性の参加が頗る多かった訳がここにありました。
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